2022 Fiscal Year Research-status Report
スガマデクス投与による声門狭窄発生のメカニズム:ランダム化比較試験
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20K17830
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
石橋 克彦 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (20792964)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 周術期気道管理 / 声門上器具 / 声門狭窄 / スガマデクス / フェンタニル |
Outline of Annual Research Achievements |
声門上器具の使用は、低侵襲な上気道確保を可能にし小児から成人まで幅広く使用されるようになってきた。声門上器具は文字通り、『声門上』までしかバイパスしておらず声門は通過していない。このことが低侵襲を可能にしているが、一方で術中、術後、抜管前における声門閉鎖が発生するリスクを常に伴っている状態にしている。特に声門閉鎖が起こりやすいタイミングとして、スガマデクス投与直後が言われている。我々の研究グループは、声門閉鎖、喉頭痙攣が起きやすい小児患者グループにおいてスガマデクス使用群と非使用群に群分けした観察研究を行い、声門狭窄が起こりやすい麻酔環境の洗い出しを試みた。その結果、筋弛緩の使用・スガマデクス投与の有り無しでは群間差はなく、スガマデクス投与時のフェンタニル効果部位濃度が声門の開大性に影響を及ぼしている可能性を示唆する結果となった。 先行研究の結果をもって、我々はフェンタニルの効果部位濃度が声門開大度に影響を与えているという仮説に基づき新たな研究をデザインし施行することとした。また、経験上、筋弛緩作用からの自然回復をまって抜管をした際に声門閉鎖の起こる頻度が限りなく低いことから、スガマデクスの緩徐投与と急速投与の2群に分けることで声門狭窄・閉鎖の起こる頻度に差があるのではないかと考えた。 以上の経緯で、今回は成人においてスガマデクス急速投与群・持続投与群での比較。フェンタニル使用群・非使用群での比較。をそれぞれランダム化を行い実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、1つ目のスタディのスガマデクスの投与方法による群分けをしたランダム化比較試験は終了し、その結果を論文投稿中である。さらに2つ目のフェンタニルの使用群・非使用群に群分けしオピオイド量に差をつけたランダム化比較試験は20例を目標に症例を積み重ね、現在15例までデータ取得が終了している。 令和5年度中にフェンタニルのスタディはデータ収集を終了し解析・論文投稿まで進めると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は二つの研究結果を論文化を行い、その結果を踏まえ、さらなる声門上器具使用時の安全性向上を目指す。 今回の結果はスガマデクス投与直後の声門狭窄・声門閉鎖にフォーカスをあてた、前例のないランダム化スタディであり、これからの周術期での声門上器具使用時の薬剤の使用方法、選択方法に大きな影響を与える一連の研究シリーズとなると自負している。
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Causes of Carryover |
現在、投稿中の論文およびデータ採取中のスタディもあり、追加の論文投稿費用が掛かってくると予想される。また、追加資料の取得に際し必要経費が増える可能性もありR5年度に科研費の延長をさせていただいた。
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