2020 Fiscal Year Research-status Report
軸索損傷マーカーを用いた術後せん妄の病態解明と予防・治療法開発の創薬標的の探索
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20K17831
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 玲央 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (10845267)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 術後せん妄 / 血清バイオマーカー / pNF-H / せん妄重症度 |
Outline of Annual Research Achievements |
術後せん妄について神経軸索傷害マーカー(pNF-H)を主軸にした血液学的診断法(感度・特異度)と重症度の定量的評価法を開発行い、血清pNF-H値が術後認知機能との関連も検討する。さらに炎症、血液-脳関門(血管内皮)傷害、認知症と関連が深いアポリポ蛋白質との相互作用の観点から術後せん妄の病態を解明し、せん妄や術後認知機能障害の予防・治療法開発の創薬標的を探索する。 そのために、本年度は対象患者に対し手術開始直前および術後集中治療室滞在期間(最大7日間)に血液2mlを経時的に収集し、血液試料からはpNF-HとS100β、NSE以外に、非特異的炎症性サイトカインであるTNFα, IL-6, IL-1βやメタボリック症候群関連サイトカイン(adiponectin, leptin, resistin, MCP-1)も計測する。 また、術後せん妄と関連する可能性が示唆されている血小板機能と相互作用のある血液-脳関門(血管内皮細胞)の指標である接着因子[selectin類, cell adhesion molecule (CAM)類]や認知症との関連が示されているアポリポ蛋白質E(ApoE)他の機能性脂質を計測する。 上記計測のための血液試料を計画に沿って獲得するのが本年度の目標である。 pNFHを基軸とした術後急性期せん妄及び炎症関連バイオマーカーを経時的に評価(前向き観察研究)し、術後せん妄の客観的診断および重症度に関する血清学的評価指標の開発と術後せん妄の発症機序の解明を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は予期せぬ社会的状況(コロナウィルスの蔓延)があり、一時的な手術の制限や症例の制限が行われた、その影響を受け研究対象(中枢神経系合併症と人工心肺他の体外循環を用いる心大血管手術患者は術中脳卒中の可能性が相対的に高いため除外した腹部大手術を受ける20歳以上かつ85歳未満の患者を対象)を広げるもしくは変更が考えられたが、手術制限も長引かず結果的には予定通り行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もコロナウィルスの動向によっては症例数が減る可能性は考慮されるので、その際は対象範囲を広げることも検討するが、今年度の実績を考慮すると予定通りに行える可能性が高いと考える。
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Causes of Carryover |
報告にも記した通り検体詐取は順調に行っているが、概要に示している検査項目の測定に関するコストは今年度に計上できていない。 今年度でまとめて測定した場合その分が次年度に計上される可能性がある。
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