2023 Fiscal Year Research-status Report
ボリュームカプノグラム分析を用いた肺内シャントの検討
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20K17840
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
荒木 寛 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (20866272)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ボリュームカプノグラム / 肺内シャント / ARDS / COVID-19 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺内には含気を有する肺胞と有さない肺胞が混在し、人工呼吸器管理中には含気を有さない肺内が増える。含気のない肺胞に肺血流が存在する場合、ガス交換に 与らず、これを肺内シャントと呼ぶ。肺内シャントの多くは無気肺として存在する。無気肺の検出には胸部単純X線写真や超音波が有用であるが、肺内シャント の程度を正確に知ることはできない。加えて、人工呼吸器管理中には肺の状態が刻一刻と変化するため、前出の検査では検査時点での状態のみの把握に留まって しまう。また、近年COVID-19による重症肺炎において肺内シャント率が高い症例は死亡率が高かったという報告もある。COVID-19をはじめとする急性呼吸窮迫症 候群の予後改善のため腹臥位療法が有用とされているが、その効果のモニタリング方法としても肺内シャント測定が有用と考えられる。しかし、肺内シャントの 正確な測定には肺動脈カテーテルの挿入が必要となり高侵襲である。そのため肺内シャントをより簡易に計測する方法が求められている。 2023年度はボリュー ムカプノグラムを用いた肺内シャントの計測方法を確立するため、ブタを人工呼吸器管理とし、スワンガンツカテーテルを用いた肺動脈の混合静脈血と、肺静脈 からの採血により肺内シャント計測し、ボリュームカプノグラムによる計測方法との比較を検討する計画した。ボリュームカプノグラムを使用することで理論的 には肺内シャントを連続的に測定することが可能と考える。ボリュームカプノグラムを用いた肺内シャント測定のために肺胞内の二酸化炭素分圧(PACO2)を算出 する必要があるが、FletcherらやTangらが示したPACO2は不正確な可能性が高いとTsukakoshiは報告しており、新たな定義を用いたPACO2測定による肺内シャント 測定を目指した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理論上、演算により肺内シャントを求められる予定であったが、理論そのものの脆弱性が指摘されたため新たな演算式を用いた研究を必要としたから。理論の脆弱性については後述している。
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Strategy for Future Research Activity |
CO2 mass balanceを応用したボリュームカプノグラムを用いた肺内シャント測定(定義:(動脈血二酸化炭素分圧-肺胞内二酸化炭素分圧)/(混合静脈血二酸化炭 素分圧-肺胞内二酸化炭素分圧))のために肺胞内二酸化炭素分圧PACO2を算出する必要があるが、FletcherらやTangらが示したPACO2は不正確な可能性が高い(こ の定義だとPACO2<呼気終末二酸化炭素分圧PetCO2となってしまうため。PACO2<PetCO2となった場合、呼気時のガス拡散が気管内→肺胞となってしまう問題点が あることと、解剖学的死腔を無視しているという2つの問題点がでてしまう)とTsukakoshiは報告しており、新たな定義を用いたPACO2測定による肺内シャント測 定を目指す。
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Causes of Carryover |
当初予定していた計測方法と異なり、新たな定義を用いたPACO2測定による肺内シャント測定を目指すため現行の機器を更新する必要があった。研究計画中に世界情勢が不安定となった影響のためスワンガンツカテーテルの供給不足となったためさらに研究が遅延しているため次年度使用額が生じた。次年度は実施予定だった肺内シャント測定を次年度に実施するため必要なスワンガンツカテーテル等の実験資材を購入する予定である。
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Research Products
(10 results)