2020 Fiscal Year Annual Research Report
水素ガスと吸入麻酔薬の併用が虚血時の神経細胞やグリアへ与える影響のメカニズム解明
Project/Area Number |
20K17846
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
福田 征孝 順天堂大学, 医学部, 助教 (80822296)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 水素ガス / パッチクランプ / 神経ステロイド / 虚血再灌流障害 / 電気生理 / 質量分析 / 細胞培養 / 蛍光分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
周術期の重篤な合併症として脳血管障害は予後を悪化させる因子である。吸入麻酔薬は虚血が起きた場合、虚血範囲を縮小させるプレコンディショニング効果が知られている。セボフルランはATP感受性カリウムチャネル(以下KATP)介して脳虚血に対して保護的な作用を持つことがこれまでの研究から示されている。また水素ガスは活性酸素種を除去することで脳へのダメージを軽減する作用など優れた報告がある。この2つを組み合わせることで、相乗効果が得られれば、周術期脳疾患合併症の発生を抑制できる可能性がある。 我々は以前、マウス脳スライスを使用して、吸入麻酔薬セボフルランがKATPを介して脳虚血に対して保護的な作用をもつことを示した。しかしながら、マウスの成長によってその作用は異なっていた。線条体における KATP の発達について明確に言及している先行研究を見つけることができなかったため、幼若マウスにおいてKATP が作用するのか調べた。KATP開口薬であるニコランジルが幼若マウス(P7)膜電位に及ぼす影響を調べたところ、ニコランジル(0.3-1.0 mM)を10分間適用すると、7つのニューロンのうち4つが-2から-11 mV(平均-4.3 mV)過分極した。その過分極は、ニコランジルのウォッシュアウト後に逆転した。 この結果は、P7 線条体ニューロンが少なくとも部分的に KATP チャネルを発現することを示唆している。この結果を踏まえて、今後は幼若マウスから老齢マウスまで幅広くセボフルランのプレコンディショニング効果を比較したいと考えている。また、近年、グリアで産出される神経ステロイドが神経保護作用を示すことが注目されている。神経ステロイドと吸入麻酔薬や水素ガスとの併用による神経保護作用の増強効果を調べるために、神経ステロイドであるアロプレグナノロンの使用を考えている。
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