2020 Fiscal Year Research-status Report
外科手術周術期における好中球細胞外トラップ発現動態の解析とその制御方法の検討
Project/Area Number |
20K17847
|
Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
小林 真之 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (00794009)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 好中球細胞外トラップ (NETs) / 外科的侵襲 / 周術期合併症 / 麻酔 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は「外科手術によって誘導される好中球細胞外トラップ (Neutrophil Extracellular Traps : NETs) 発現は術後臓器傷害に関与しており、術中操作や麻酔管理方法の選択も含めた周術期NETs発現抑制戦略によって、術後臓器傷害発症率を低減できる」という仮説に基づき、術後臓器傷害発症予防への展開を期待できる革新的な周術期管理戦略の確立を将来的な目標にしている。この目標を達成するために本研究は3年間の研究期間内に外科手術周術期、特に手術中におけるNETs発現を経時的に評価解析し、手術中イベント(外科的操作や輸血、人工心肺管理など)や麻酔管理方法がNETs発現動態に与える影響を明確化することを目的とする。 今年度は実際に外科手術を受ける患者から得た血液検体を用いて周術期NETs発現動態をフローサイトメーターを用いて解析しつつ、翌年度以降にサイトカインなどの解析を行うために検体を収集、保存を進めた。 また手術症例における術中因子や患者背景などの情報も適宜収集している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
NETs発現の測定及び検体採取は全体数から考えると予定通り進んでいるものの、採取検体の手術分類には偏りがある。特に呼吸器外科手術症例のサンプリングが不十分であり、今後は重点的に取り組む必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は臨床検体のNETs発現測定を進めながら、保存した検体を用いてサイトカインなどの測定を行う予定である。 現時点では予定症例数及び手術群毎の測定時期を順守する考えだが、当該施設での手術予定や同意書取得状況によっては実施症例数を増減する可能性があり、またこれまでに得られたデータから測定する意義が比較的低いと考えられる測定時期については測定時期の削減や変更を行い、予算内で最も有意義なデータが得られるように適宜考慮していく。 また同時に患者背景や術中因子、薬剤などからNETs発現に影響を与えうると思われる因子を同定する必要があり、同定した薬剤を用いてNETs誘導モデル (in vitro) での研究を予定している。
|
Causes of Carryover |
今年度は臨床研究のサンプリングがやや不十分であり、測定用試薬の使用が予定より少なかったため次年度使用額が生じた。
|