2022 Fiscal Year Annual Research Report
Clinical usefulness of biomarkers as a postoperative acute kidney injury in patients undergoing TAVI
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20K17848
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
小幡 由美 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 准教授 (80410091)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 急性腎障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
大動脈弁狭窄症に対して、経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)が増加している。TAVIが適応となる患者は高齢で、心機能や腎機能が低下しており、術中の人為的心停止による低灌流のため腎障害を起こしやすい。急性腎障害(AKI)は、血清クレアチニン(Cr)値の上昇によって診断されるが、TAVI術中の輸液による血液希釈の影響で正確な診断は難しい。これまで研究代表者は、TAVI実施後の腎機能を早期に評価できるバイオマーカーを検討し、尿中L-FABP(liver fatty acid binding protein)とClusterinが早期のAKI診断に有用であることを示してきた。術前尿中L-FABPはAKI発症予測に、術後4時間ClusterinはAKI早期診断に有用であり、術前の推算糸球体濾過量(eGFR)と組み合わせることで特異度が上昇し診断精度が上昇することが明らかになった。本研究では、定性試験への臨床応用を目指し、L-FABPとその他のバイオマーカーによるAKI診断基準を決定するため、診断に適した周術期における測定時期やカットオフ値を同定した。TAVI術後にAKIを経て慢性腎臓病(CKD)や腎不全になるケースもあり、尿中バイオマーカーの測定値から腎予後を予測できる可能性があった。TAVI術後の腎予後が悪くなるハイリスク患者を特定できれば、専門医による長期フォローによって腎機能の悪化を防ぐことが可能である。透析患者の増加は社会問題となっており、本研究成果は術後の腎機能低下を予防するための指針にも役立てることができると考える。
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