2021 Fiscal Year Research-status Report
Role of the gut microbiota in early brain injury after subarachnoid hemorrhage
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20K17863
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川端 修平 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (20764062)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | くも膜下出血 / 早期脳損傷 / 腸内細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
くも膜下出血の予後は、発症後早期の重症度と強く関連する。医療技術の発達により軽症例の予後は改善したが、重症例では依然として死亡率は高く、社会復帰率は低い。近年では、くも膜下出血発症後72時間以内に観察される早期脳損傷(EBI; Early Brain Injury)が直接重症化に影響する因子として注目されている。その結果、早期脳損傷は、出血、頭蓋内圧亢進に続く一連の病態が解明されつつあるが、実用化された有効な治療法や予防法は未だ存在せず、新たな視点からの病態の解明や治療法の開発が望まれている。近年、腸内細菌は脳梗塞やてんかんなど多くの脳疾患との関連が示されており(腸脳相関)、新規治療薬の開発が期待されている。そこで、我々は、くも膜下出血後早期脳損傷と腸内細菌叢についても同様に関連があると仮説を立てた。 令和2年度は、腸内細菌叢がEBIの重症度を決定する因子の一つであるかを検証した。まず、抗生剤を用いて腸内細菌環境を変化させたラットを作成した。腸内細菌叢は、SAH導入前の新鮮便からDNAを抽出し、16SrRNA解析をおこなった。また、SAH導入24時間後にEBIの指標(神経症状、脳浮腫、脳血液関門)を評価したところ、抗生剤を用いた群で改善を認めた。さらに組織学的評価を行ったところ、抗生剤群では好中球浸潤やミクログリア活性が低下していることを認めた。 令和3年度は、フローサイトメトリーでは、抗生剤群において、成熟好中球(CXCR4 high、CL62L low)の有意に減少していることが示された。これらのEBIに対する予防効果は、正常な細菌叢を再コロニー化することで消失した。今後は、これまでの結果をまとめて報告する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度までに、腸内細菌叢がくも膜下出血後EBIに関連することを明らかにした。今後は、これまでの結果を報告する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、これまでの結果をまとめ報告する予定である。次は、SAH後に腸内細菌叢を変えることによる治療効果を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
研究結果の報告に使用する予定である。
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