2022 Fiscal Year Annual Research Report
第一次爆傷による単独軽症頭部外傷によって局所および全身に惹起される反応
Project/Area Number |
20K17864
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
戸上 由貴 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (50866936)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 爆傷 / 軽症頭部外傷 / 高次脳機能障害 / 衝撃波 |
Outline of Annual Research Achievements |
衝撃波による軽症頭部外傷モデルのラットを用いて評価を行った。我々の有する衝撃波作成装置は、安全に照準を絞ったポイントに対して衝撃波をあてることが出来る。そのため本モデルでは、頭部に焦点を絞って衝撃波を作用させているため、純粋な頭部外傷による生体の反応を評価することができると考えている。本装置を用いて作成した衝撃波軽症頭部外傷ラットモデル(全身麻酔下での侵襲であるため、軽症頭部外傷は受傷後に肉眼的に脳実質に出血や脳挫傷の所見がないことと定義した)において、受傷2週間後・6週間後にうつ様行動を示唆する行動学的試験(強制水泳試験)で衝撃波頭部外傷(Blast)群においてうつ様行動を示す結果が得られた。認知機能低下を示唆するY迷路試験では、2週間後にBlast群において認知機能低下を示す結果が得られたが、6週間後には有意差を認めなかった(Matsuura et al. Brain Injury. 2021)。 これらの症状は局所における炎症が関連していると考えており、全身性の炎症(血清)と比較して、局所である神経の炎症(髄液)が亢進していると仮説を立て、血清および髄液のサイトカインの測定を行った。結果、Blast群では14日後に有意に髄液中のインターロイキン(IL)-6が高値を示す個体が存在した。3日目の血清、髄液や14日目の血清では有意な上昇は見られなかった。一方で、TNF-aについては日数(3日目、14日目)、採取検体(血清、髄液)による差は見られなかった。しかし、3日目の髄液検体のIL-6 の値はばらつきが大きく、個体による差が見られた。これに関しては、1)衝撃波の大きさが一定でない可能性、2)個体による衝撃波による影響が異なる可能性を考えた。 そのため、まずは、衝撃波を一定化することを優先して進めることとした。今後も本研究は継続予定である。
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