2021 Fiscal Year Research-status Report
水素ガスを利用した腸管虚血に対する新規治療法の開発
Project/Area Number |
20K17873
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山元 良 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (90528853)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 水素ガス / 腸管虚血 |
Outline of Annual Research Achievements |
腸管虚血は頻度の高い腹部救急疾患であり、病態の持続によって腸管バリアの破綻によるバクテリアルトランスロケーションから敗血症などに進展することが示唆されており、また、腸管壊死に至れば外科的切除が必要となる重症度も高い疾患である。一方で、虚血の原因解除以外に確立した治療法はなく、腸管虚血から腸管壊死への進行を抑制する治療法は存在しない。 そこで我々は、腸管虚血モデルラットに水素ガス吸入を行い、前年度までに示された水素ガスの組織保護作用のメカニズムに関して解明を試みた。 腸管虚血モデルラットは、腸間膜動脈の虚血時間を60分に固定し、ダブルクリッピングすることで腸管虚血・再灌流状態を安定させた。再灌流から1時間後の腸管粘膜ダメージが再灌流もでるとしての観察が最適であることを見出し、虚血のみ、虚血再灌流、水素ガス吸入下での虚血再灌流の三つの状態での細胞障害を比較し、小腸幹細胞に対する保護作用が示唆される所見を得た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、実験の停止や延長を余儀なくされました。また、コロナウイルス患者診療業務の増加に伴い、研究全体の進行が遅れてしまいました。
|
Strategy for Future Research Activity |
水素ガスによって小腸幹細胞が虚血再灌流障害から保護されている可能性が示唆されたため、そのメカニズムを解明するため、様々な細胞内シグナル伝達物質を測定していく。
|
Causes of Carryover |
予定していた学会へコロナウイルス流行のために参加できなくなったため、また、効率的な物品調達を行ったため、次年度使用額が生じました。使用計画に関しましては、現在進行中の腸管虚血モデルラットを用いた研究の継続と、学会での発表や論文執筆に関わる経費で使用する予定です。
|