2020 Fiscal Year Research-status Report
救急現場オンサイトでの迅速感染症診断を可能にする超小型シークエンスシステムの確立
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20K17880
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
中村 文子 関西医科大学, 医学部, 助教 (80701721)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | MinION / 迅速細菌同定法 |
Outline of Annual Research Achievements |
感染およびそれに伴う合併症対策は救急・集中治療分野における最重要課題の一つである. 感染管理において抗菌薬の適正投与には病原菌の同定が重要な情報となるが, 現在の標準的検査である細菌培養法は精度や迅速性において解決すべき問題点を抱えている. 今回, 16SrRNA遺伝子を指標としたMinIONを用いた迅速細菌同定法の有用性を検証し, 臨床的アウトカムの向上に繋がる技術基盤を確立することを目的とした. 対象は, 当院に救急搬送され, 腹部緊急手術を行った汎発性腹膜炎患者16例を対象とした. 手術中に腹水を採取し, 得られた検体を分割し, MinIONによる解析と並行して一般細菌培養検査による菌種同定を行い結果を比較する. 16例の内訳は, 上部消化管穿孔が4例, 下部消化管穿孔が7例, 壊疽性・穿孔性虫垂炎が3例, 壊疽性胆嚢炎が2例. 今回, 陰性対照を置き実験を行ったが明らかなコンタミネーションは認めなかった. 一般細菌培養の結果陰性であった5例について, MinIONでは細菌の同定が可能であった. 上部消化管穿孔のうち, 一般細菌培養の結果陽性であった2例はMinIONでも同じ結果を認めた. 下部消化管疾患・虫垂炎・胆嚢炎のうち, 一般細菌培養の結果陽性であった9例はMinIONでは一般細菌培養で同定できなかった細菌の同定も可能であった.MinIONによる迅速細菌同定法はより高精度に細菌の判別・同定を行うことができ, 感染症診断ツールとして有用である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床において、上部消化管穿孔ではβDグルカン陽性となることが多い。しかし、一般細菌培養検査では真菌が検出されるのはβDグルカン陽性患者のうち3割程度である。MinIONを使用し、一般細菌培養検査と比較を行う予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響により予定していた海外発表の学会や現地での学会発表等も開催中止となり旅費での使用が無くなった。今後も旅費での使用は無いものと考え、実験を計画し物品費として使用させて頂きたいと考えている。
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Research Products
(1 results)