2020 Fiscal Year Research-status Report
難治性心室細動・無脈性心室頻拍患者に対する地域救急搬送システムの構築
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20K17881
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Research Institution | Kobe City Medical Center General Hospital(First Clinical Division, Second Clinical Division, Third |
Principal Investigator |
松岡 由典 地方独立行政法人神戸市民病院機構神戸市立医療センター中央市民病院(第1診療部、第2診療部、第3診療部, 中央市民病院, 副医長 (20867197)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 院外心停止 / 心室細動 / 救急搬送システム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、難治性心室細動・無脈性心室頻拍患者におけるエビデンスに基づいたプロトコル作成およびその評価を目標としており、現在、その一段階目の研究である「病院までの搬送時間と患者予後」との関連性の検討を行っており、その結果を以下に報告する。 事前の研究計画に基づいて、神戸市内の院外心肺停止レジストリより心肺停止患者のデータを収集し、解析1:搬送時間が患者予後に与える影響の検討、解析2:バイパス時間が許容される搬送時間の検討を行った。解析対象となったのは、神戸市内で2010年~2018年に発生した院外心肺停止患者12,363人の中、難治性心室細動・無脈性心室頻拍患者の620人であった。外傷性、末期悪性腫瘍、妊婦については除外した。このデータを用いて、神経学的予後良好を目的変数(カテゴリ変数)、搬送時間を説明変数(連続変数)として、多変量ロジスティックモデルを作成した。このモデルでは、その他の説明変数として搬送先医療機関のECPR体制、年齢、性別、目撃の有無、バイスタンダーによる心肺蘇生の有無、AED使用の有無、救急隊による薬剤投与の有無、気管挿管の有無、電気的除細動の回数を組み込み、さらに搬送先医療機関の影響をランダム効果として考慮している。本ロジスティックモデルからECPR施設までの搬送に許容される搬送時間と、直近のCCPR施設ではなくECPR施設に搬送する場合に許容される余剰の搬送時間について推定した。現時点では、そのモデルおよび推定値の妥当性について、統計学的および臨床の観点から検討している段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は、現時点では計画通りに進捗していると評価している。本研究課題は3年間で研究を完了する予定で計画しており、初年度は本研究に必要なデータベースの作成・整備、及び難治性心室細動および心室頻拍患者に対する地域搬送プロトコル策定に必要なデータ解析を行う計画としていた。現時点では計画通りに、当初より想定していた2010-2018年に神戸市内で発生した院外心肺停止患者12,363人のデータを収集し、解析が可能なようにデータのクリーニング、固定などを行い、解析が可能なデータベースを作成した。その後、解析に必要なモデルについて臨床的観点および入手可能なデータに基づいて、解析に必要な統計モデルを構築した。統計モデルは、多変量ロジスティックモデルを選定し、目的変数には神経学的予後良好(カテゴリ変数、2値)、搬送時間を説明変数(連続変数)とし、その他の説明変数として搬送先医療機関のECPR体制、年齢、性別、目撃の有無、バイスタンダーによる心肺蘇生の有無、AED使用の有無、救急隊による薬剤投与の有無、気管挿管の有無、電気的除細動の回数を選択した。さらに、搬送先医療機関ごとに階層構造があると想定し、搬送先医療機関をランダム効果として組み込んだ。現時点では、このモデルを用いて解析を行っているところであり、ある程度の推定が出来ている。今後、このモデルの統計的、臨床的妥当性について検討を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点では順調に進捗しており、今後の研究に対して特に大きな問題点は指摘できない。計画通り、第一段階の解析結果を基にプロトコル案の作成、その後にシミュレーションを用いたプロトコル案の評価を行う予定である。
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Causes of Carryover |
総額は87,542円に収まっており、おおむね計画通りと考えている。新型コロナウイルス感染症の影響があり、途中研究計画が遅延しがちであり、また感染蔓延に伴い海外および国内における旅費が大幅に変更となったことで、予算計画を変更せざるを得ない場面もあった。最終的には、状況の変化に対して柔軟に対応することで、研究計画通り順調に進んでいると判断している。
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