2022 Fiscal Year Research-status Report
脳神経蘇生における脳循環の理解と機械学習を利用した治療戦略の開発
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20K17893
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
舘野 丈太郎 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任助教(常勤) (50747152)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 低酸素性虚血性脳損傷 / 脳血管自己調整能 / 近赤外光 / 脳局所酸素飽和度 / 神経予後予測 / 脳低温療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
心肺停止蘇生後に生じる低酸素性虚血性脳損傷(HIBI: hypoxic-ischemic brain injury)における脳血管自己調整能(CVAR: cerebrovascular autoregulation)と神経学的予後の関連をテーマに研究を継続している。鍵となる技術は近赤外光を用いた脳局所酸素飽和度と平均血圧の相関係数の移動平均を用いた手法により、非侵襲的にCVARを評価する手法である。HIBIに伴い、CVARは障害されると研究仮説を立てた。心肺停止蘇生後にCVARが検出されないことは生体にとっての悪影響のある暴露として捉え、これを時間依存性共変量とした生存解析を行った。100例の心肺停止蘇生後患者を対象として最大96時間の持続モニタリングを行ったところ、CVARを検出できない時間が長いほど、統計学的有意に神経予後が不良と関連することが示された。加えて、副次的解析により脳低体温療法の実施は、CVARが残存している症例に有効であることが示唆された。 本研究は心停止蘇生後の患者に対する適切な治療方針の策定や家族への情報提供に貢献する可能性がある。今後は、より多くの患者を対象とした大規模な研究やCVAR評価法の標準化、脳低体温療法の最適化が求められる。引き続き、心肺停止蘇生後の神経学的予後予測においてCVARの評価が有用である可能性を示し、今後の研究や臨床応用の可能性を広げるべく研究を継続していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果を論文としてまとめ、投稿し査読過程にある。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の主たる研究成果に関して論文投稿中である。今後、臨床に実装化するべく準備していく。
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Causes of Carryover |
投稿論文の査読に時間を要しており、追加解析などの必要が生じたため。
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