2023 Fiscal Year Annual Research Report
救急外来からの連続的な脳波データを活用した非けいれん性発作の神経傷害機構の解明
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20K17894
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山口 宏 神戸大学, 医学研究科, 特命助教 (80851849)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 非けいれん性てんかん重積 / 非けいれん性発作 / 救急外来 / 脳波 / 熱性けいれん / 急性脳症 / 急性脳炎 / てんかん |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、意識障害を呈する小児患者においてEDでの簡易EEGの詳細な記述を行うことである。2019年3月1日から2023年2月28日の間に意識障害を呈した小児患者(18歳未満)に対して兵庫県立こども病院のEDで簡易EEGが施行されアーチファクトが少ない56例を抽出した。次にそれらのEEGを4群に分類し(FS群[32症例]、AE/AES群[8症例]、てんかん群[10症例]、発熱を伴うてんかん群[6症例])、EEGパターンをACNS Standardized Critical Care EEG Terminology 2021を用いて記述した。簡易EEGはEEG-9100(日本光電(株))を用い10-20法の電極のうち左右前頭極・後頭部の4チャンネルの基準電極導出法で記録した。 簡易EEGの脳波パターンの記述ではMain Term 1は全般性を多く認めたが、グループ間で明らかな差はなかった。Main Term 2では、FS群、AE/AES群ではRhythmic Delta Activityが多く、てんかん群および発熱を伴うてんかん群ではSpike/Sharp and Wave complexが多かった。FS群の約1/4でAE/AES群では認めなかった律動性シータ活動を認めた。Periodic Dischargesの症例はなかった。Electrographic seizureは56人の患者中26人に観察され、てんかん群(100%)および発熱を伴うてんかん群(83.3%)で多く、FS群(28.1%)およびAE/AES群(25.0%)では少なかった。FS群の1/4のみにθバーストパターンを認めた。本研究ではFS群のみにこのパターンを認め、FSとAEの区別に役立つ可能性がある。EDでのEEGの報告はまだ少なく、今後より多くの症例による解析が望まれる。
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