2020 Fiscal Year Research-status Report
重症患者に発症するびまん性神経障害の動物モデル作成及び病態解明
Project/Area Number |
20K17898
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
太田 浩平 広島大学, 医系科学研究科(医), 助教 (50526225)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ICU-AW / 集中治療後症候群 / 敗血症 |
Outline of Annual Research Achievements |
実臨床ではICU-AWは実際の筋力低下のみをもって症候として診断され,ICU-AWと診断された患者全てにおいて組織学的なニューロパチーやミオパチーが証明されている訳ではないため,その病因の解明は十分に進んでいない.そのため本研究では,ICU-AWを組織学的に検証しうるモデルの作成を目指している.まずはマウスを用いた予備実験を行った.盲腸結紮穿刺(Cecal ligation and puncture;CLP)もしくは偽手術(Sham)を行い、生存率や体重変化を評価した。Sham群の生存率は100%に対して、CLP群の生存率は約40%であった。CLP群ではSham群に比べ経過中の体重減少は遷延するが、17日後にはSham群と比べて有意差がない程度まで回復した。慢性期にオープンフィールド試験、高架式十字迷路試験、尾懸垂試験などの行動試験を行った。またGrip testで前肢の筋力評価を行った。その結果、オープンフィールド試験ではCLP群はSham群に比べ総移動距離、移動スピードなどが有意に低下していた。また高架式十字迷路試験ではCLP群で不安様行動が強い傾向にあった。尾懸垂試験ではCLP群とSham群との間に無動時間に差はなかった。Grip testではCLP群ではSham群に比べて有意に前肢の筋力が低下していた。しかし,従来の敗血症モデルでは十分な長期生存が見込めず,また初期の敗血症状態に置くことはできるもののその後の治療介入などが十分ではなく,筋力低下や体重減少の病理学的異常を発見するに至らなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの流行に伴い,臨床面での負担が大きく研究にエフォートを割けず,また研究における家兎の管理などについて助言を得る予定の担当者にも同様の事由により帰学に遅れが生じた.
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は,家兎を用いてまずは敗血症及びその後の治療介入をしうるモデルの作成を目指す.本年の結果からも初期の介入により敗血症状態とすることは可能でも,実臨床で行われているような敗血症治療の介入がない状態でのモデルでの評価には限界があると思われる.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染流行に伴い臨床業務の負担が大きく,研究へさけるエフォートが十分でなかった.本年度は臨床業務の中心から外れたため,臨床業務の負担軽減が得られる見込みである.大学内で協力が得られる研究室(神経生物学)とも連携して,昨年度の敗血症モデルマウスの筋サンプルでの組織解析を行うとともに,まずはマウスを用いて敗血症モデルに対して人工呼吸管理をはじめとした治療介入を行い,その有無による変化などを組織学的評価及び遺伝子解析などで評価する予定である.
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