2023 Fiscal Year Annual Research Report
ラット敗血症モデルにおける筋力低下および認知機能障害に対するALAの効果
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20K17900
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
立岩 浩規 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 講師 (90614397)
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Project Period (FY) |
2021-11-01 – 2024-03-31
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Keywords | ICU-AW / 敗血症関連認知機能障害 / alpha-lipoic acid |
Outline of Annual Research Achievements |
敗血症を含めた重症患者において集中治療後の合併症、集中治療後症候群(PICS: Post Intensive Care Syndrome)が大きな問題となっている。PICSの中でも筋力低下(ICU-AW)、認知機能障害が患者予後に大きく寄与する事が報告されている。本研究では敗血症モデル動物を用いて、PICSに対するALA(Alpha Lipoic Acid)の有用性について検討した。 本研究では6-8週齢のwistar系雄性ラットにLPSを投与することで敗血症モデルとして使用した。それに対して、ALA 100mg/日を6日間、連日投与して介入した。その後、握力測定による筋力評価、および新奇物体認識試験による認知機能評価を行った後、脳組織および筋肉組織を摘出した。脳組織は各種炎症マーカーを測定し、脳内炎症の評価を行った。筋肉組織は一部はホルマリン固定の後、HE染色を行い筋線維の断面積を評価し、また一部はwestern blotによって、筋肉異化・同化マーカーの変化を評価した。これらを①vehicle+vehicle、②LPS+vehicle、③LPS+ALA、④vehicle+ALAの4群で比較した。 認知機能については、新奇物体認識試験を行ったが、全群間で差を認めなかった。また脳内炎症マーカーも群間差を認めなかった。これらの結果については、LPS投与からやや時間が経過しており、また若年ラットである事が要因であると考えられた。 筋肉については、LPS投与によって有意に握力低下を認めたが、ALAによってそれを抑制する事が出来た。筋線維の断面積についても、LPSで減少を認めたが、ALAで抑制された。またLPSによって筋肉異化の亢進および同化の抑制が各種マーカーで示されたが、これらの変化はALAによって抑制された。これらの結果からALAがICU-AWを抑制する可能性が示唆された。
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