2020 Fiscal Year Research-status Report
持続的血液浄化療法における局所冷却法を用いた抗凝固
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20K17902
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
千原 伸也 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (60725597)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | CRRT / 回路凝固 / 抗凝固剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
急性腎障害(AKI)の治療として用いられる持続的腎代替療法(CRRT)は円滑に24時間以上連続的に施行する必要があるため,ヘパリンなどの抗凝固剤が必要不可欠である.しかし,CRRTは周術期や出血傾向を有する症例にも適応されるため,抗凝固剤の使用による出血性合併症のリスクは増大し,予後に大きな影響をあたえる.このことから,抗凝固剤を使用しないCRRTの施行方法に着眼し,血液回路/ヘモフィルター部を28-30℃で局所的に冷却する「局所冷却法」を考案した. 本研究により,この機能が内蔵されたコンソールの新規開発につながり,CRRTに伴う出血合併症のリスクは著しく低下し,本研究成果は国内30万人以上の慢性維持透析患者のQOLにも波及する.また,血液回路/ヘモフィルターの寿命(life-time)の延長効果によって,血液回路やヘモフィルターの使用量が減少するため,医療経済的効果が期待できる革新的な施行法である. 本研究の血液冷却に伴うリスクがあるためを文献的考察を行った.実験で用いる温度(28-30℃)に関して血球変化にの問題はないが,より低温刺激になることで活性化が進んで非可逆的形態変化を起こし,円板(静止)型から偽足を出しながら球(活性)型に変化することが報告されている.冷却による拡散効率の低下の概念は存在するが具体的に検討されていないため本実験で解明できる予定である.また,ブタ血液を用いた予備実験により,ヒトに比べて凝固しやすい傾向があるため,本実験で用いることは可能であると判断した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
予定していた生体ブタでの実験は,酪農学園が学外の動物実験規制となったため,今後の実験の見通しがつかない状態である.
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Strategy for Future Research Activity |
動物実験ができないことを想定し,代替として芝浦畜産からブタもしくはウシの血液を購入し,in vitoroでの実験に切り替える予定である.購入血液の凝固能についてはヒトに亢進しているため,本実験で使用可能である.
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響により動物実験ができなくなったため. 実験方法は変わらないため実験機器(血液浄化関連医材)は予定通り購入する.動物実験の見通しがつかないため,対象をブタおよびウシ血液に変更する.血液は外部業者(芝浦臓器)から購入する予定.
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