2020 Fiscal Year Research-status Report
脳内炎症伝播の司令塔ペリサイトから「熱性けいれんのてんかん原性」に挑む
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20K17909
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
森地 振一郎 東京医科大学, 医学部, 助教 (00532269)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 熱性けいれん / てんかん / ペリサイト / 血管内皮障害 / 血管新生因子 / サイトカイン / 血液脳関門 |
Outline of Annual Research Achievements |
熱性けいれん(FS)によるてんかん原性に免疫学的機序が関与するかを検討する。またてんかんや認知機能障害の発症を予測するマーカーを探索するため、以下(A)-(C)の研究を実施した。 (A)サイトカイン/ケモカインの網羅的解析:FS群、てんかん群、非発症群を対象とし、急性期検体(血清/血漿、髄液)を集計した。Bio-Plex suspension array systemを用いて、27項目を測定した。特にペリサイトおよび血管内皮障害に関連したPDGF-BB、VEGF、FGF-basic/-2、NGF、GDNFの変動を臨床像と比較し、有用な候補マーカーの選定を試みた。PDGF-BB、VEGF、IL-1β、IL-6がFS(特に複雑型)、中枢神経感染症、てんかん疾患群で上昇していた。また一部の検体では血漿の炎症性サイトカイン値とFACS(研究項目C)によるサイトカイン産生能が異なっていた。 (B)ペリサイトのマーカーであるPDGFRβ、CD13や虚血病態下でPDGFRβ発現を誘導するBMPを、ELISA法(R&D Systems kit)を用いて血清/血漿、髄液検体で測定した。さらにDAMPsに関連したHMGB1、BDNF、VEGFを追加し、他のサイトカイン・ケモカインの変動と比較した。特に中枢神経感染症、難治性てんかん、神経学的後遺症を有した群でPDGFRβ、HMGB1、BDNF、VEGFが有意に上昇していた。 (C)また細胞内染色後にフローサイトメトリー(FACS)にて末梢血単核細胞(単球、CD4/CD8T細胞、NK細胞、B細胞、NKT細胞)のLPS刺激によるサイトカインの反応性の違いを免疫学的に解析した。特に難治性てんかん、神経学的後遺症を有した群で、単球の細胞内IL-1βが高値であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
FSは罹患数が多いため、前方視的に検体を確保しやすい。次年度の目標であるFS、中枢神経感染症、てんかん疾患群に対する免疫学的データの集計を進めている。またペリサイトに関連する各種バイオマーカーの変動を一部明らかとし、論文を2報準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も前方視的にFSを中心としたけいれん疾患の症例を集積し、血清/血漿・髄液を用いたサイトカイン解析およびフローサイトメトリーによる網羅的解析を行い、症例数の蓄積を継続していく。またFSに対する他の候補因子の追加検討を行い、論文も執筆していく。
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Causes of Carryover |
ペリサイト関連因子の測定が比較的順調に進み、試薬のコストが予想より安価に済んだため。
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Research Products
(12 results)