2021 Fiscal Year Research-status Report
脳内炎症伝播の司令塔ペリサイトから「熱性けいれんのてんかん原性」に挑む
Project/Area Number |
20K17909
|
Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
森地 振一郎 東京医科大学, 医学部, 助教 (00532269)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 熱性けいれん / ペリサイト / フローサイトメトリー / サイトカイン / 神経炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
ペリサイトを中心に,熱性けいれん(FS)によるてんかん原性に対する免疫学的機序の関与を検討し,てんかんや認知機能障害の発症を予測するマーカーを探索する. 本研究は(A)ペリサイトマーカー解析,(B)フローサイトメトリー(FACS),(C)サイトカイン/ケモカインの網羅的解析の3本立てで実験を進めている.本年度はFSだけでなく他のけいれん性疾患にも対象を拡大し,特に(B) を中心に行った. FACSを用いて対象疾患の末梢血単核細胞(単球,CD4/CD8T細胞,NK細胞,B細胞,NKT細胞)のLPS刺激によるサイトカインの反応性の違いを検討した. (1)複雑型(重積,群発)FSで発作前後の検体で評価した.結果は発作後に速やかにIL-1βの低下が確認され,細胞内モノサイトがけいれんに密接に関与している可能性が示唆された.(2)てんかん性脳症の代表である,West症候群の各病相の検体で評価した.CD8陽性T細胞であるIL-1β,IL-1受容体拮抗薬(IL-1RA)陽性単球,およびIFN-γの割合が,非けいれん群よりも有意に上昇していることが確認された.また急性期と慢性期群で比較すると,IL-1RA,CD4陽性IFN-γが慢性期に有意に増加していた.さらに後遺症あり群は,後遺症なし群と比較するとCD8陽性T細胞とCD4陽性T細胞で細胞内IFN-γとIL-6が有意に低下していた.陽性細胞の比率と特定のサイトカインの血清レベルとの間に相関性は確認されなかった. FSおよびWest症候群のけいれん発作の発生機序に,IL-1βを主とした細胞内モノサイトが関与している可能性が示唆された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ペリサイト・血液脳関門に関連した論文がアクセプトされた.FSは罹患数が多く前方視的に検体を確保できるため,対象数を増やすことができデータの確実性が期待できる.引き続きFS,中枢神経感染症,てんかん性疾患群に対する免疫学的データを集計していく.
|
Strategy for Future Research Activity |
FSを中心としたけいれん性疾患の症例を集積し,血清/血漿,髄液を用いたペリサイトマーカー解析,フローサイトメトリー,サイトカイン/ケモカイン解析による網羅的プロファイリングを継続する.またin vitro実験を検討しているが,技術面で補強が必要な状況にある.当施設医学総合研究所に所属する技術者の協力も得て進めていく.また学会発表,論文執筆も並行していく.
|
Causes of Carryover |
Web開催の学会参加であり、旅費分の余剰が出たため。
|
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] フローサイトメトリーを用いたWest症候群の末梢血由来因子の免疫学的検討2021
Author(s)
高松朋子,山中岳, 大野幸子, 森健太郎, 直宮理絵 ,加納佳奈子, 渡邊由祐, 竹下美佳, 鈴木慎二, 森地振一郎, 石田悠, 小穴信吾, 河島尚志
Organizer
第63回日本小児神経学会学術集会
-
-
-