2021 Fiscal Year Research-status Report
高齢者重症患者に対する漢方を併用した経腸栄養療法:骨格筋維持を目指す基礎研究
Project/Area Number |
20K17912
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Research Institution | Osaka Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
藤井 研介 大阪医科薬科大学, 医学部, 非常勤医師 (50846904)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 人参養栄湯 / 盲腸結紮穿刺 / 腹膜炎マウス / 動物用CT / グリップテスト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、腹膜炎モデルマウスに対して、漢方の人参栄養湯を併用した栄養療法を行い、骨格筋減少の予防また予後改善効果を検証した。まず、死亡率約50%の重症腹膜炎モデルマウス(盲腸結紮穿刺:CLP)を作成し、人参栄養湯(NYT)投与群(18匹)とコントロール群(18匹)で、下肢の骨格筋量、四肢の筋力測定、また生存期間を比較した。CLP後に6週間観察を行い、NYT群:12/18匹、コントロール群:8/18匹の生存を認め、各群の体重比較では多変量分散分析(MANOVA)p値 0.8145で有意差を認めず、Kaplan-Meier法ではp値 0.3359であり、生存率に有意差は認めなかった。動物用CT(Lathela LCT-200)により左下肢骨格筋の体積を測定し、MANOVA p値 0.9701であり、有意差を認めなかった。また、グリップテストによる筋力測定を行い、水平方向の握力ではMANOVA p値 0.0366でNYT群に有意な結果を認めたが、垂直方向の握力ではMANOVA p値 0.7742で有意差を認めなかった。次に、生存率の高い軽症腹膜炎モデル(盲腸穿刺 20Gy→23Gy、CLP後2日間抗生剤投与)を作成し、同様に比較研究を施行した。6週間の観察でNYT群:5/6匹、コントロール群:5/6匹の生存を認め、両群の体重はMANOVA p値 0.0321でコントロール群で有意な結果、下肢骨格筋はMANOVA p値 0.2926で有意差を認めず、またグリップテストでは水平方向の握力でMANOVA p値 0.2534と有意差を認めなかったが、垂直方向の握力-MANOVA p値 0.0128および四肢の握力-MANOVA p値 0.0285でありコントロール群で有意な結果であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の実験計画通りに研究を進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
重症腹膜炎モデルから採取した下肢の骨格筋組織について、5つのコンパートメント(前脛骨筋、長趾伸筋、ヒラメ筋、腓腹筋、足底筋)毎に筋重量を測定し、有意差は認めなかったが人参養栄湯投与群で腓腹筋(p値 0.20984)と前脛骨筋(p値 0.09675)で正の傾向を認めた。今後、Western Blottingにて、タンパク質分解関連因子(Atrogin-1, MURF-1, NF-κB )、またタンパク質合成関連因子(Akt, p70S6K, mTOR )について発現量の変化を評価する。また、別の高度侵襲モデルである熱傷モデルでの比較研究についても機材(熱湯バス)の準備中である。
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Causes of Carryover |
腹膜炎モデルマウスの作成におけるマウス及び手術物品の予算を計上していたが、予定よりも順調に手技の安定化を認めたため。また、COVID19感染症の流行に配慮し、現地での学会参加や発表を自粛したため、予算計上していた旅費等は使用しなかった。翌年度分の助成金と合わせて、現在準備中の重症熱傷モデルマウスの実験に使用する物品(加温浴槽等)の購入費に充てる予定である。
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