2020 Fiscal Year Research-status Report
中枢神経胚細胞腫に対する免疫療法導入に向けた、腫瘍・腫瘍間質の免疫機構の解析
Project/Area Number |
20K17918
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高見 浩数 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (50548625)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 胚細胞腫 / 中枢神経 / 腫瘍免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はまずジャーミノーマにおける解析を行った。HE染色標本にて腫瘍含有率を計算すると同時に、450Kメチル化解析を行い、メチル化解析から推測される腫瘍含有率と一致することを確かめた。この腫瘍含有率はジャーミノーマにおいて<5%~90%と様々な差があることを示した。特記すべきことは、腫瘍含有率はジャーミノーマの無再発予後に有意に相関し、腫瘍含有率が高い症例は再発しやすいことが示された。ジャーミノーマは腫瘍発生部位による予後の差があることを既報で示しているため、部位という因子を入れての多変量解析による予後解析を行った。この解析においても腫瘍含有率は予後に有意に相関することが示された。ジャーミノーマは今後の治療の層別化ができる可能性を示したと言える。 次にジャーミノーマとノンジャーミノーマにおいてRNAシークエンスを行った。この発現解析データを基に、CIBERSORTという手段を用いて免疫細胞の構成成分を同定した。これによるとジャーミノーマは前述の通り様々な程度で免疫細胞の浸潤がある一方で、ノンジャーミノーマは有意に免疫細胞の浸潤が多く、全体として一定して高い割合で免疫細胞の浸潤があることが分かった。特にM2 macrophageやmonocyte、NK cellなどの腫瘍免疫寛容を示すようなプロファイルが特徴として見られ、ノンジャーミノーマの予後不良である臨床的側面の一端を表していることが考えられた。同時に免疫チェックポイント阻害薬の有効性の可能性を示唆する結果であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前述の通り、ジャーミノーマにおける腫瘍免疫が予後に影響していること、またノンジャーミノーマにおける腫瘍免疫の特徴が示されてきており、研究の成果は順調に出てきていると思われる。これらの結果はこの研究にユニークなものであり、他の研究グループとは一線を画している。今後の研究成果次第で、臨床的応用も期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
ノンジャーミノーマにおける腫瘍免疫については今後、免疫染色による評価を行う予定で準備をしている。各施設から未染標本を取り寄せる手はずを整えた。免疫チェックポイント阻害薬の可能性を追求する。 ジャーミノーマにおいては腫瘍含有率による予後の差が示唆されたため、外部コホートによるexternal validationを検討している。論文が採択されればこの動きをとる。最終的には臨床試験を検討しており、腫瘍含有率が低い症例における治療低減を考えている。
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Causes of Carryover |
引き続き免疫染色やゲノム解析が必要であるため。免疫染色のための抗体やゲノム解析のための外注費として用いる計画である。
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