2021 Fiscal Year Research-status Report
中枢神経胚細胞腫に対する免疫療法導入に向けた、腫瘍・腫瘍間質の免疫機構の解析
Project/Area Number |
20K17918
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高見 浩数 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (50548625)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 胚細胞腫 / 中枢神経 / 腫瘍免疫 / 腫瘍マーカー / メチル化解析 / RNAシークエンス / 発現解析 / コピー数異常 |
Outline of Annual Research Achievements |
58症例の中枢神経胚細胞腫に対してRNAシークエンスを行い、ジャーミノーマと非ジャーミノーマが明確に異なる発現を示すこと、非ジャーミノーマはM"マクロファージを含む多くの免疫細胞の浸潤が疑われること、また精巣の胚細胞腫と発現・メチル化において相同であることを示した。2022年のNeuro-Oncology誌に第一著者として報告した。腫瘍マーカーの臨床的位置づけは定まっておらず、日本のiGCTコンソーシアムからの122症例とアメリカメイヨークリニックの40症例を用いて腫瘍マーカーと組織型の比較解析を行った。その結果、ジャーミノーマや奇形腫でも腫瘍マーカーの上昇が多く見られ、腫瘍マーカーだけで治療方針を決めることの可能な欧米の治療方針に疑義を投げかけることになった。Cancers誌に2022年に第一著者として報告した。また82症例においてメチル化解析を行い、コピー数異常を網羅的に解析した。その結果、12p増幅が最も頻度の高いコピー数異常であり、12p増幅と組織学的に非ジャーミノーマであることの強い相関が見られた。また12p増幅がある症例は非ジャーミノーマの中でも予後が悪いことが統計学的に示され、これらの結果を2021年のNeuro-Oncology誌に共同第一著者として報告した。またジャーミノーマにおける腫瘍免疫細胞の多い症例は予後が良いことを発見し、Neuro-Oncology Advances誌に2021年に報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
いただいた研究費により、第一著者としてNeuro-Oncology誌に2本、Cancers誌に1本、Neuro-Oncology Advances誌に1本の論文を執筆し、アクセプトされた。RNAシークエンスの解析、メチル化解析を世界最大の規模で行うことに成功し、その結果を世界に先駆けて報告できたことは当初の計画以上と言える。これからも研究を発展させていける土壌を作れたのは大きいと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
中枢神経胚細胞腫は世界でもまれな腫瘍であり、また欧米では検体を採取せずに治療を開始することが多いため、腫瘍のバイオロジー的研究は海外ではあまり進んでいない。今回、この科研費課題としてRNAシークエンスとメチル化解析(Illumina 450K アレイ)を行い、この研究によるデータは世界に類を見ない貴重なデータとして創出できたと思われる。これらのデータを活用し、また次の若手研究課題にて新たに研究を推進し、さらに国際競争力の高い胚細胞腫研究を続けていく予定である。最終的には胚細胞腫の治療標的を明確にしていくことを目標と考えている。
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Causes of Carryover |
研究期間に作り上げた業績を論文発表する際に、英文校正やopen accessのための料金など、研究継続に経費が必要なため。
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Research Products
(7 results)