2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of new biomarkers for the detection of plaque rupture in patients with cervical internal carotid artery stenosis
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20K17920
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
安藤 和弘 新潟大学, 医歯学総合病院, 非常勤講師 (20849004)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 可溶型CLEC-2 / リンパ管 / 動脈硬化 / 深部静脈血栓症・肺塞栓症 |
Outline of Annual Research Achievements |
頚動脈標本のポドプラニン染色:大凡70例の標本でポドプラニン染色を行い評価.その過程でポドプラニンが管腔構造を形成するように発現している部分が存在することが判明した.ポドプラニンがリンパ管内皮に発現するタンパクであることに注目すると,肥厚した頚動脈内皮にリンパ管が発現している可能性が示唆された.そこで,同じリンパ管内皮のマーカーであるLYVE-1でも染色を行うと,一部ポドプラニンと同じ部位に管腔構造が存在していることが明らかとなった.これは頚動脈内皮にリンパ管が存在していることの証明となり,動脈硬化のプロセスでリンパ管の発達が関与している可能性を示していると考えられた.次いで,その分布や頻度について検討を行うと,臨床的に脂質成分の多いソフトプラークで,また肥厚した内皮の周囲で多く発現していることが判明した. 血中ポドプラニン濃度,可溶型CLEC-2濃度の測定:頚動脈狭窄症の症例に限らず,脳腫瘍の症例も含み様々な症例で両タンパク質の血中濃度を測定すると,脳腫瘍術後の深部静脈血栓症・肺塞栓症合併例でCLEC-2の値が高い傾向にあることが判明した.そこで,可溶型CLEC-2が血小板の活性化マーカーであることに注目すると,血栓塞栓性合併症(特に深部静脈血栓症・肺塞栓)の予測マーカーで使用できるのではないかという仮説が生じた.血管障害・脳腫瘍などの術後で経時的に採血を行い,可溶型CLEC-2を測定した.血栓塞栓性合併症を来した症例と非合併症例でその値を比較すると可溶型CLEC-2の値は合併症例で高く,特に術後比較的早期で高い傾向にあることが分かった.また,この結果は,CLEC-2自動測定機器の用途特許に用いることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各実験の結果に対する考察は概ね進んでおり,まとまりつつある.
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Strategy for Future Research Activity |
頚動脈の検討について:リンパ管の存在は確認できていると思われるが,さらなるタンパク分析を行い,病理学的にだけでなく生化学的にもその存在証明を行なっていきたい.具体的に手術で摘出したプラーク標本,また剖検例で採取した動脈硬化の強くない頚動脈標本でタンパク解析,比較検討を行うことを検討している. 可溶型CLEC-2の検討について:さらに症例を増やし,具体的に血中濃度はどのような推移を示すのか,またどの地点での値が最も強力な予測因子になるのか比較検討を行なっていく.
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Causes of Carryover |
年度内に発注し使用予定であった抗体と試薬が新型コロナウイルスの影響で生産・搬送が遅れたため,計画は次年度への持ち越しとなった.
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