2020 Fiscal Year Research-status Report
髄膜腫の局在と硬膜の発生学的背景に基づいた腫瘍進展機構と間葉系幹細胞の果たす役割
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20K17928
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
棚橋 邦明 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (90790717)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 髄膜腫 / Mechano-sensor / Hippo pathway / YAP / 間葉系幹細胞 / オルガノイド |
Outline of Annual Research Achievements |
頭蓋底部に発生する髄膜腫は脳表部に発生する髄膜腫に比べ、その局在から外科的切除が困難である場合が多い。中でも硬膜に沿った進展様式を示す髄膜腫(en plaque meningioma)は、脳神経を巻き込んで発育するため、組織学的に良性であっても脳神経機能予後は不良となる。脳表部髄膜腫の多くはNF2遺伝子変異を発生起源とするが、頭蓋底部髄膜腫の多くはNF2変異を認めないことが報告されている。このような髄膜腫進展様式の制御機構には、NF2遺伝子がコードするMerlinからHippo pathwayを介した下流構成分子であるYes-associated protein (YAP)への作用や、髄膜腫細胞の足場となる微小環境構成要素としての間葉系幹細胞(Mesenchymal stem cell, MSC)が髄膜腫のMechano-sensor機構に関与すると考え、研究を進めている。しかし一部の悪性髄膜腫を除き、髄膜腫の性質上、細胞株や動物モデルの樹立は難しく、その報告も限られている。まずはじめに髄膜腫培養法を工夫し実験系を確立することが不可欠である。我々は、オルガノイド培養法を用いた髄膜腫新規培養法を確立した。マトリゲルを用いた三次元培養を行い、継代可能なスフェロイド形成が観察された。さらに分子プロファイリングを行ったところ、髄膜腫オルガノイドはその由来腫瘍組織の形質を再現していることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
髄膜腫の組織検体収集、およびオルガノイド培養法の確立までに時間を要した。また、MSCの未分化マーカーであるMeflinに対する抗Meflin抗体の条件設定の検討に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
抗Meflin抗体の至適条件を検討後、複数の髄膜腫オルガノイドにおいてMSCの存在を確認し、YAPおよびMeflinの発現パターンを調べ、腫瘍増殖との関連を明らかにする。アクリルアミドゲル上での髄膜腫オルガノイド培養が難しい場合は、胸腺欠損マウスの頭蓋内へ移植し、in vivoにてYAPやMSCが腫瘍進展様式にもたらす作用を明らかにする。
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Causes of Carryover |
髄膜腫の組織検体収集、およびオルガノイド培養法の確立までに時間を要したこと、また、MSCの未分化マーカーであるMeflinに対する抗Meflin抗体の条件設定の検討に時間を要していることから、進捗にやや遅れが生じている。予備実験を進めていき、今後研究の進捗により物品購入に充てる予定である。
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