2022 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍微小環境に着目した神経膠腫浸潤メカニズムの解明と治療薬の探索
Project/Area Number |
20K17937
|
Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
川嶋 俊幸 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 医員 (10867831)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | グリオーマ 微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の概要は腫瘍微小環境と腫瘍細胞との相互作用に注目した、がん浸潤メカニズムの研究と抗腫瘍薬の探索である。これまで我々は、in vitroの腫瘍微小環 境において腫瘍間質細胞(oligodendrocyte)がAngiopoietin-2を分泌し神経膠腫細胞の浸潤を促進していることを発見した。本研究の初年度においては、 Angiopoietin-2シグナル経路の下流分子の遺伝子発現およびタンパク質の解析を主に行った。下流の分子の遺伝子については、阻害薬を使用した際にネガティブ フィードバックが示唆されるような結果もあり、複数のシグナル経路の関与が示唆される。これらの結果からは単一のシグナル阻害薬の効果は限定的となること が予想され、複数の経路を同時に阻害する必要があると考えられる。今後は関連する他のシグナル経路および下流の分子の発現解析を進め、複数の阻害薬の同時 使用による効果も検討する必要がある。また、これらの結果を踏まえたin vivoでの阻害薬の抗腫瘍効果の評価を、脳腫瘍モデルマウスにて行なっている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理由 本研究での主な研究対象である、脳腫瘍浸潤にかわる分子としてAngiopoietin-2に着目しているが、その下流や関連して動くシグナルに関わる分子が多いため、RNAの発現変化の分析に想定以上に時間がかかっている。 またそれに付随するタンパク質の発現分析も同様である。 以上により研究の進捗が、当初の予定よりもやや遅れていると評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究進捗の遅れの主な原因は関連分子シグナルの多さとそれを一つずつ評価することが多大な労力を必要としている点にある。 上記に対する対策としては、研究対象とする分子の数をAngiopoietin-2やその周辺の分子に絞り、評価にかかる時間を減らすことで、速やかに次の研究段階へ進めるよう努める。
|
Causes of Carryover |
研究計画立案時の予定では初年度に遺伝子のノックダウンやin vivoでの実験を始める予定であったが、研究の進捗の遅れのためそれら研究に関わる物品の購入をしなかった。 また旅費として計上している予算についても、国内外の情勢より学会参加を控えたため使用していない。 以上の理由により次年度使用額が生じた。 これらの予算は次年度以降のin vivo実験にかかる物品や学会参加費として使用する予定である。
|