2020 Fiscal Year Research-status Report
ジストニア症例におけるDYT遺伝子群の変異頻度及び傾向の集団解析
Project/Area Number |
20K17942
|
Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
東 剣虹 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (80724070)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | ジストニア / 遺伝子解析 / 集団解析 / DYT遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の末まで、累計146症例を対象としたジストニア関連16遺伝子の次世代シーケンス解析を行った。146症例の40%に当たる59症例で何らかの変異又は異常を検出した。変異頻度の上位3遺伝子は、順にTOR1A (DYT1)、KMT2B (DYT28)、SGCE (DYT11) であり、その3遺伝子で検出された変異の総数は全体の変異の71%を占めた。TOR1Aで検出された変異は全てホットスポット変異 (Glu303del) であった。KMT2Bでは遺伝子の全域に渡って変異が検出されていたが、その半数近くはナンセンス又はフレームシフト変異であった。SGCEで検出された変異の9割はナンセンス、スプライシング、又はフレームシフト変異であった。 SGCEのスプライシングとインフレーム欠失変異の影響を解析した結果、スプライシング異常によるフレームシフト、インフレーム欠失変異によってタンパク質の安定性が著しく低下したことをそれぞれ確認した。この結果については現在論文にまとめており近々投稿する予定である。 次世代シーケンサーで変異が検出されなかった症例については、エクソンレベルの異常を検出できるMLPA (Multiplex Ligation-dependent Probe Amplification) 法を用いて解析を行った。その結果、2家系においてそれぞれの家系内で罹患者に共通のエクソンの異常が検出された。具体的に、1家系目はGCH1 (DYT5)の片アレル欠失、もう1家系はTOR1AとTHAP1 (DYT6) のエクソン1の増幅が検出された。このことからMLPA法も次年度の解析項目とし追加する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次世代シーケンサーを用いた解析そのものは順調に進んでいる。一方で、コロナの影響で症例追加が暫く滞っていたり、一部の機能解析等に関する試薬の納入が遅れたこともあり、論文作成がやや遅れている。全体的には特に大きな問題は発生していない。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き、次世代シーケンサーを用いた遺伝子解析を行っていくとともに、MLPA法を用いた解析も進めていく予定である。近年新たに報告があったジストニア関連遺伝子についても解析を行うために新しい解析パネルの設計をする予定である。又、検出された変異の機能解析も行っていく予定である。特に検出された変異の多くはVUS(variant of unknown significance)であるために、こうした変異の機能的影響を明らかにするために新しい解析系を構築する予定である。
|
Causes of Carryover |
コロナの影響で症例追加が暫く滞っていたり、一部の機能解析等に関する試薬の納入が遅れたこともあり、初年度の予算はやや余る結果となった。ただし、試薬の納入の目処が立ったことや、診療が再開したことによってこれらの繰越された額は解析に必要な試薬等に費やす予定である。
|
Research Products
(1 results)