2021 Fiscal Year Annual Research Report
既存薬剤Pentamidineによる新規抗グリオーマ幹細胞療法の基礎基盤構築
Project/Area Number |
20K17956
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
玉井 翔 金沢大学, 附属病院, 特任助教 (70792597)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 膠芽腫 / グリオーマ幹細胞 / ドラックリポジショニング / ペンタミジン |
Outline of Annual Research Achievements |
未だ克服し得ない原発性悪性脳腫瘍である膠芽腫において、特にがん幹細胞である、グリオーマ幹細胞が再発や治療抵抗性との関連性で着目されているものの、これを標的とした治療方法は確立されていない。今回ドラックリポジショニングの手法を用い、候補薬剤として抽出された抗真菌薬ペンタミジン(PE)の効果をin vitro, in vivoで検証した。脳腫瘍摘出検体より当教室で抽出・確立したグリオーマ幹細胞株KGS01、KGS07および汎用されているグリオーマ細胞株A172、T98を用いた。In vitroでは幹細胞性をsphere forming assay、細胞周期への影響をflow cytometryおよびアポトーシスの誘導を蛍光免疫染色でそれぞれ評価した。また、細胞内シグナル変化をwestern blottingを用いて評価した。In vivoではグリオーマ幹細胞株を脳内移植したマウス膠芽腫モデルを作成し、in vitroで得られた効果を脳組織切片の免疫組織染色を用いて検証した。PE処理により増殖活性の低下をグリオーマ幹細胞株およびグリオーマ細胞株で確認した。Sphere forming assayではスフェアの形成数の減少と大きさの低下を認めた。細胞周期解析でG1期の停止およびアポトーシス誘導を認めた。また、SOX2およびCDK4発現の低下、Cleaved csspase-9の発現上昇を認め、上記の表現型の変化と合致した。In vivoでは、PE治療群での腫瘍径は有意に小さくなり、またKi-67 labeling indexの低下、TUNEL染色陽性細胞の上昇、および組織内活性化STAT3の低下を認めた。グリオーマ幹細胞を標的とした薬剤として抗真菌薬PEを抽出した。本薬剤は実臨床でも使用される薬剤であり、今後臨床応用を検討していく。
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