2022 Fiscal Year Research-status Report
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20K17958
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
神尾 佳宣 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (10829716)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 鉄制限 / 酸化ストレス / 炎症細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
組織内の鉄の沈着は2価鉄イオンは3価鉄イオンに酸化される際にフリーラジカルを産生することで組織障害および炎症性変化を引き起こすことが知られている。本研究の目的は脳動脈瘤壁への鉄の集積が炎症性変化および酸化ストレスの原因となり、組織障害を起こし脳動脈瘤の破裂を誘発すると考えられるため、鉄の集積を抑制することで脳動脈瘤破裂を抑制できるか検証することである。 マウス脳動脈瘤モデルを用いて鉄制限食群と通常食群の2群間で脳動脈瘤の破裂抑制効果を検証し、鉄制限食群では有意に脳動脈瘤の破裂を抑制した。一方で脳動脈瘤の形成は2群間で有意差は認めなかった。またマウス血清を用いて酸化ストレスの代謝産物を測定したところ、鉄制限食群では有意に抑制された。 さらに脳動脈瘤の組織学的検討を行い、脳動脈瘤壁への鉄の集積、炎症細胞の浸潤に関して評価を行なった。鉄制限食群の組織では通常食群の組織と比較して鉄の集積、炎症細胞は有意に減少していることを示した。 以上より鉄集積を行うことで炎症細胞浸潤や酸化ストレスなどの組織障害の原因を有意に抑制することがわかり、脳動脈瘤破裂抑制に寄与していると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予想していたよりも鉄制限を行った治療群が脳動脈瘤抑制効果が非常に高い結果を得られたことから組織学的検討およびマウス血清を用いた血液検査の検証も行うことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
脳動脈瘤壁における炎症細胞、鉄集積に加えて酸化ストレスの反応が同じエリアに生じているかどうかを検証する必要がある。そのため酸化ストレスの免疫染色として8-Hydroxy-2’-deoxyguanosineの染色を行い、血管壁での酸化ストレスが抑制されるかどうかを検証する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍において海外からの薬剤調達が進まず、一時実験が中断していたことから次年度に研究費を使用することとなりました。
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