2021 Fiscal Year Research-status Report
てんかんに着目したくも膜下出血後早期脳損傷の病態解明
Project/Area Number |
20K17963
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
川北 文博 三重大学, 医学部附属病院, 医員 (90608952)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | SAH / perampanel / NCSz |
Outline of Annual Research Achievements |
今回我々はSAH後の早期脳損傷の病態解明において、てんかん特に痙攣発作を有さないnon-convulsive seizures (NCSz)に着目し本研究を開始し、まずマウスくも膜下出血モデルにおいて抗けいれん薬であるperampanelの効果について検討した。マウス頭蓋骨に脳波測定用の皮質電極を固定し、SAHモデルおよびshamモデルを作成、その後vehicleあるいはdrug群としてperampanelを腹腔内投与し24時間後に神経所見、brain water content、脳波を評価した。また24時間後にwestern blotにてAMPA型グルタミン酸受容体(GluR)、テネイシンC(TNC)、MMP9、およびMAP kinaseであるERK、JNK、p38の発現を、IgG染色にて血液脳関門の破綻を調べて比較検討した。結果perampanel投与群ではvehicle群と比較して神経所見、脳浮腫の改善効果を認め、脳波ではspike数が有意に抑制された。またperampanel投与群ではGluR1、GluR2、ERK1、JNK(p46)、p38の活性およびTNC、MMP9の発現が有意に抑制され、そしてIgGの血管外漏出の抑制を認めた。これによってSAH後perampanel投与にててんかんを抑制、またMAP kinaseやTNC、MMP9の活性を抑制し、血液脳関門の破綻抑制を介することで脳保護効果をもたらす可能性が示唆された。次にこれまでの内容をconfirmationするためにマウスくも膜下出血モデルを作成後vehicleあるいはdrug群としてAMPA受容体アゴニストであるCI-HIBOを脳室内投与した。24時間後に神経所見、brain water content、脳波を評価、また24時間後にIgG染色により血液脳関門の破綻を調べて比較検討した。結果脳波ではspike数に有意な差を認めなかったが、CI-HIBO投与群ではvehicle群と比較して神経所見、脳浮腫の増悪を認めた。またIgG染色ではCI-HIBO投与群で有意にIgGの血管外漏出の増強を認めた。以上よりAMPA型グルタミン酸受容体は、血液脳関門の破綻を介し、くも膜下出血後の早期脳損傷に関与する可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々がこれまでくも膜下出血(SAH)において研究を行なってきたマトリセルラー蛋白の1つであるテネイシンC (TNC)がSAH後の早期脳損傷とそれに続くnon-convulsive seizures (NCSz)発生に関与するか否か、関与する場合その病態を明らかにするのが本研究の目的であるが、ここまでで我々はSAH後にAMPA型グルタミン酸受容体活性がてんかん発生の有無によらずTNC発現および血液脳関門の破綻を介し、くも膜下出血後の早期脳損傷に関与する可能性を示した。
|
Strategy for Future Research Activity |
くも膜下出血(SAH)後の早期脳損傷の病態解明において、今後mechanismとしてAMPA型グルタミン酸受容体の神経アポトーシスに対する効果について検討を行なっていく。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍のため出張に行けず旅費に余りが生じたため。神経アポトーシス評価に使用する試薬の購入に使用する予定である。
|
Research Products
(2 results)