2021 Fiscal Year Annual Research Report
三次元動作解析システムを用いたパーキンソン病モデルマウスの行動解析法の確立
Project/Area Number |
20K17964
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
菊地 哲広 京都大学, iPS細胞研究所, 特定拠点助教 (40619821)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | パーキンソン病 / 三次元動作解析 / トランスジェニックマウス / ディープラーニング / DeepLabCut |
Outline of Annual Research Achievements |
パーキンソン病はアルツハイマー病についで2番目に多い神経変性疾患であり、病状は進行性である。現在の治療は対症療法が中心であるため、症状を根本的に改善する細胞移植治療の研究が行われている。細胞移植治療の効果を調べるためには疾患動物モデルを用いた実験が有効であるが、現在利用可能なモデルはパーキンソン病の病態、経過、症状などにおいて必ずしもパーキンソン病患者と酷似したものではなく、完璧な疾患動物モデルは存在しない。本研究では、パーキンソン病患者と病態が酷似した慢性パーキンソン病のトランスジェニックマウスを用い、三次元動作解析システムを用いて運動症状の詳細な評価を行うことによって、従来は観測することが困難であった微少な運動症状の解析を行った。 慢性パーキンソン病のモデル動物として、A53T変異およびヒトパーキンソン病の最頻度の2ヶ所のSNPを組み込んだα-シヌクレイン遺伝子を導入したトランスジェニックマウスを使用した。ホモ動物の繁殖を試みたが、オスの不稔が多く繁殖困難であったため、ヘテロ動物を実験に使用した。当初予定していたマーカーを用いた三次元動作解析では、マーカーの装着による侵襲が大きく、頻回の行動解析は困難であった。ディープラーニングを用いた行動解析ソフトウェア「DeepLabCut」が利用可能となったため、マーカーレスでの行動解析を試みたところ、従来のマーカーを用いた方法と遜色ない精度の行動解析が可能で、侵襲性も非常に低いため頻回での行動解析が可能であった。以上、本研究によりパーキンソン病モデルマウスの詳細な行動解析を少ない侵襲で行うことが可能となった。
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