2020 Fiscal Year Research-status Report
広汎性脱分極 (皮質拡延性抑制)が脳虚血に及ぼす影響についての研究
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20K17970
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
杉本 至健 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (30786075)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 広汎性脱分極 / Spreading depolarization / Spreading depression / PID / 拡延性抑制 / 脳虚血 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はCSDが脳虚血において保護的に働くか傷害的に働くかを明らかにすることを目的とする。本目的を達成するためにまずOptogenetic spreading depolarizationが脳虚血に及ぼす影響を検討した。すなわち神経細胞にchannelrhodopsin-2(ChR2)を発現したトランスジェニックマウス(Optogeneticマウス)にMicrovascular clipを用いて脳梗塞を作成し、1時間の脳虚血中にIntactな頭蓋骨の上から光刺激(optogenetic stimulation (470 nm, 1-2 mw, 10秒) を行い、繰り返しOptogenetic CSDを誘発させた。48時間後の脳梗塞体積を、CSDを追加(誘発)しなかった対照群と比較し、CSDが脳梗塞に及ぼす影響を検討した。1時間の虚血の間にOptogenetic CSD群は対照群と比較し5倍のCSDを生じた。しかしながら、Optogenetic CSD群の48時間後の脳梗塞体積は対照群と比較し有意差を認めず、むしろ小さくなる傾向を認めた。 CSDは脳梗塞巣を増大させる。この仮説は、脳梗塞体積とCSDの出現数が相関することと、人為的に誘発したCSDが脳梗塞巣を増大したという2つの実験結果に由来する。しかしながら、塩化カリウム滴下、電気刺激、Pinprick、エンドセリンの脳表への滴下などこれまで報告されているCSD誘発方法はそれ自体が侵襲的であり、組織損傷を来す。 Optogeneticsで非侵襲的に誘発したCSDは脳虚血を増悪させなかった。これまでのCSD誘発方法自体が脳虚血に対し有害であった可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CSDが脳虚血において保護的に働くか傷害的に働くかを明らかにするためにまずOptogenetic spreading depolarizationが脳虚血に及ぼす影響を検討した。Optogeneticsで非侵襲的に誘発したCSDは脳虚血を増悪させなかった。CSDの誘発方法自体が有害である可能性を明らかにするために、計画の通り塩化カリウムで誘発したcortical spreading depolarizationが虚血に及ぼす影響を検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
Optogeneticsで非侵襲的に誘発したCSDは脳虚血を増悪させなかった。同様の検討を有害刺激である塩化カリウム滴下によるCSD誘発でも検討する。また計画のとおり、可能であれば別のコホートで脳梗塞作成の48時間前に光刺激でCSDを誘発し、その後脳梗塞を作成し脳梗塞体積を評価することにより、CSDの神経細胞保護作用(Preconditioning効果)も検討する。
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Causes of Carryover |
国際学会参加による情報収集および成果の報告、さらに外国人指導者の招聘を予定し旅費を予算計上したが、コロナ禍によりともに実施困難であったために次年度使用額が生じた。
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Research Products
(10 results)