2021 Fiscal Year Annual Research Report
ノックアウトラット脳動脈瘤モデルを用いた候補遺伝子Xの解析
Project/Area Number |
20K17979
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
新井 直幸 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (70868736)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 脳動脈瘤 / モデル / ラット / ノックアウト |
Outline of Annual Research Achievements |
CRISPR/Cas9ゲノム編集システムを用いて遺伝子Xプロモーター領域からexon30までの約75kbを欠損した遺伝子変異ラットを作成した。F1ヘテロ遺伝子変異同士の体外受精にて受精卵の凍結胚192個を得た。個体復帰させたのち、PCRスクリーニングを行った7週のオスの野生型20、ヘテロ32、ホモ20匹を用いて実験を行った。 同腹のラットにペントバルビタール腹腔内投与による全身麻酔下に、左総頚動脈の結紮(血行力学的負荷)と左腎動脈後枝の結紮(高血圧負荷)、8%塩化ナトリウム含有食の投与(高血圧負荷)、lysyl oxidase inhibitorである0.12 % 3-aminopropionitrileの投与を行った。14日目に 4 % paraformaldehyde solutionで心臓から固定し脳動脈瘤の発生率と増大率をホモ変異、ヘテロ変異、野生型ラットで比較した。 4か所のWillis輪前半の分岐部(ACA-OA とICA-MCA)の脳動脈瘤発生率を比較したところ、遺伝子Xのホモとヘテロの個体は野生型に比べ、1.75倍高かった(p<0.01)。血圧に差はなかった。最も血行力学的なストレスのかかる右ACA-OAでは、ホモとヘテロの個体は100%脳動脈瘤が発生するのに比べ、野生型は80%であった。両側ICA-MCAでは、脳動脈瘤の発生率は、野生型20個体のうち7、ヘテロ32個体のうち26、ホモ20個体のうち17であり、倍以上の発生率であった。一方、脳動脈瘤の大きさには差はなかった。 以上から、候補遺伝子Xは脳動脈瘤感受性遺伝子である可能性が示唆された。
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