2021 Fiscal Year Annual Research Report
独自開発したシート状脂肪幹細胞を用いた特発性大腿骨頭壊死症に対する治療法の開発
Project/Area Number |
20K17992
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
上岡 顕 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (60823010)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 脂肪幹細胞 / 白色家兎 / 大腿骨頭壊死 / 変形性関節症 |
Outline of Annual Research Achievements |
特発性大腿骨頭壊死症は大腿骨頭が壊死し、関節が変形・破壊する疾患であり、強度な股関節痛ならびに著しい歩行困難を呈する。厚生労働省の特定疾患に指定されており、関連因子)は報告されているものの、明らかな原因は不明であり、治療に難渋する疾患である。関節を温存する根本的な治療法はなく、従来法である培養脂肪幹細胞を用いた治療成績は、満足がいくものではない。主な要因として、壊死部に脂肪幹細胞が生着できないことが挙げられる。本研究では、我々が開発したシート状脂肪幹細胞を用い、より効率的、かつ根治的な関節温存治療法を開発することを目的とした。脂肪幹細胞をシート状にすることで、壊死部に留まり続けることを可能し、その結果、より良好な壊死部の修復を促すことを期待して実施した。 脂肪組織由来体性幹細胞(ADSC)の培養手技に関しては問題なく可能であった。白色家兎は脂肪採取するのに十分な大きさがあり、特段の不都合なく採取が可能であった。ADSCシートの作成に関しては、手技の一定化が進行し、再現性の高いものとなった。 白色家兎を使用した大腿骨頭壊死モデルの作成も可能であったが、壊死範囲にはどうしてもばらつきが生じていた。壊死組織の修復過程の評価には、μ-CT画像と病理切片での評価を行ったが、ADSCとADSCシートを用いた群間では、壊死の再生程度において統計学的に有意といえる差までは認めなかった。結果にばらつきが大きく、手技が一定化できていない可能性が考えられた。壊死モデル作成において、壊死領域にもばらつきが生じやすく、その点も結果のばらつきにつながったと考えられた。 モデルのばらつきが小さくなると考えて、白色家兎を用いた変形性関節症モデルを作成し、軟骨欠損の再生過程について調査した。モデルの均一化が行われ、ADSCシートが軟骨再生に寄与するのではないかと示唆される結果を得た。
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