2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K17994
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
出淵 雄哉 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 医員 (20795041)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 温熱・免疫療法 / 骨肉腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨肉腫に対する免疫チェックポイント阻害剤と温熱療法の治療効果の解析を行った。骨肉腫細胞株であるLM8を使用し骨肉腫罹患マウスモデルを作成。免疫チェックポイント阻害時および温熱療法を行うことで抗腫瘍効果を腫瘍体積の推移や生存率、遠隔転移の有無(肺転移の有無)について評価を行った。 骨肉腫罹患マウスモデルにおいては、免疫チェックポイント阻害剤(抗PD-1抗体)の単独使用では腫瘍縮小効果には乏しいものの、コントロール群(無治療群)と比べて生存期間が延長する傾向があった。免疫チェックポイント阻害剤を使用した場合、LM8細胞株では高頻度で認める肺転移が抑制されており、生存期間の延長につながると考えられた。また温熱療法単独では生存期間の延長は認めないものの、腫瘍増大を抑制する傾向があった。温熱療法と免疫チェックポイント阻害剤を併用した治療群では腫瘍の増大抑制効果および生存期間の延長を認めた。単独治療では効果が乏しいものの、温熱療法と免疫チェックポイント阻害の併用療法は腫瘍の増大抑制効果および生存期間の延長をともに認めており、骨肉腫罹患マウスモデルにおいて有効性のある治療と考えられた。 尚この実験は複数回行い、同様の結果が得られたため、再現性の高い実験系が確立されたと考えていて、今後の研究に利用する予定である。腫瘍内免疫環境の解析には再現性のある動物モデル・実験プロトコールが必要であり、正確なマウスモデルの構築は欠かせない要素であると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は研究するための実験系の最適化を図るため、抗がん剤の投与方法(投与経路、投与時期、投与量など)や温熱療法の方法(温度、治療方法など)を小スケールの予備実験で検証し、再現性のある研究ができる治療プロトコルを確立することが目的であった。再現性のある実験方法(プロトコール)は確立したが、投与頻度を変更した他のプロトコールの確立も現在行っている状況であるため、進歩状況としてはやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究プロトコールが確立次第、予定されていた1細胞遺伝子発現解析(scRNAseq)を行い、腫瘍内免疫環境の解析を行う。
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Causes of Carryover |
補助事業の誠実な執行に努めた結果、当初計画より経費の使用が節約できたことにより未使用額が生じた。
当該未使用額を次年度に持ち越して追加の試薬・抗体・消耗品等購入する。
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