2022 Fiscal Year Annual Research Report
p21をターゲットとした関節リウマチにおける関節破壊の制御機能の解析
Project/Area Number |
20K17998
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
福田 康治 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (70579325)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | p21 / 関節リウマチ |
Outline of Annual Research Achievements |
関節リウマチ治療は生物学的製剤や分子標的薬などが導入されたことにより飛躍的に進歩した。しかし、免疫系を強力に抑制するこれらの治療薬は生体防御に必要な免疫も抑制してしまう。そこで、免疫系を抑制せずに関節炎を制御し、関節軟骨・骨の破壊を抑制する新しいRA治療法の開発が期待されている。我々の研究により、p21欠損マウス関節炎モデルの滑膜炎の増悪と関節軟骨の破壊やM1優位のマクロファージ浸潤の増加、全身及び関節局所でのIL-1β、TNF-α、IL-6の上昇、局所でのp-IKKα/β、MMP-3、MMP-9、MMP-13の発現の有意な上昇を認めており、p21欠損関節炎モデルマウスではNF-kB経路を介した全身及び局所の炎症の増悪および軟骨の破壊が起こることが示唆された。Vitroの実験でも、以前よりp21が抗炎症効果や細胞増殖能の低下作用が示唆されているが、本研究ではRA滑膜細胞のp21の発現抑制がIL-1βの刺激に対するIL-6, IL-8の上昇、IKKα/β、IκBαのリン酸化の活性化、MMP-3、MMP-9の有意な増加を起こしており、Vivoの実験と同様にヒト滑膜細胞においてもp21ノックダウンによりNF-kB経路を介した炎症の増悪が起こることが示唆された。さらに、RA滑膜細胞におけるp21の発現はOA滑膜細胞と比較し有意に低値であり、RAにおいてp21の発現低下が滑膜炎の増悪に寄与していることが示唆された。p21発現はRAの滑膜炎と関節破壊を抑制する可能性が示唆され、p21発現のコントロールがRAの新たな治療につながる可能性が示された。これらの得られた知見はAnnual meeting of the orthopaedic research society, 日本整形外科基礎学術集会等学会発表、及び英文誌Scientific Reportsに掲載された。
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