2021 Fiscal Year Research-status Report
関節摺動面圧は膝関節軟部組織バランス評価の基準となりうるか?
Project/Area Number |
20K18000
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
和田 佳三 徳島大学, 病院, 講師 (00771289)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 動態解析 / 人工膝関節置換術 / ナビゲーション |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き研究で使用する健常膝関節をもつ未固定遺体の確保に時間がかかり、解析が十分にできなかった。そのため、関節摺動面圧の研究で対象とならなかった未固定遺体膝を用いて、軟部バランス評価の再現性についての検討を追加で行い、参考データとすることとした。この軟部バランス評価は本研究において、手術操作が関節摺動面圧に与える影響を評価する際に手術操作が軟部バランスに与える影響を定量的に評価するために必要なデータである。 軟骨摩耗や靭帯機能不全など健常膝を解析する研究には用いられない未固定遺体膝5膝を用いて、徒手的な軟部バランス評価の再現性の検討をおこなった。軟部バランス評価は膝関節に各屈曲角度で徒手的な内外反ストレスを加えてナビゲーションシステムで自動計測する方法を用い、検者が緩やかにストレスをかける手法(Mild法)と徒手的に最高のストレスをかける手法(MAX法)、内外側それぞれの関節面に挿入したレトラクタを用いてストレスをかける手法(レトラクタ法)の3つの手法を3人の検者でそれぞれ2回ずつ行なった。統計学的評価として級内相関係数を用いて検者内、検者間の信頼性を評価した。内側軟部組織の評価においてはレトラクタ法とMAX法がともに検者内ならびに検者間信頼性が高い結果となった。一方、外側軟部組織の評価においてはレトラクタ法とMAX法が同等に高い検者内信頼性を示したが、検者間信頼性においてはMAX法が最も低く、レトラクタ法が最も高い結果となった。膝関節の内側は外側と比較して安定性が高いことがことが知られており、より弛緩性の高い外側の評価においてはMAX法における検者間信頼性が低下したものと考えられた。Mild法ではかかるストレスが一定とならず、再現性が低い結果となった。本研究の結果から、軟部組織バランス評価にはレトラクタ法を用いることが妥当であると考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究予定では本年度は昨年度に滞っていた未固定遺体を用いた動態解析と関節摺動面圧評価を実施することとしていたが、使用可能な未固定遺体の確保が進まず、またフィルム型圧センサーの予期せぬ動作不良などがあり、予定していた10膝のうち4膝の研究までしか行えなかった。そこで本研究の対象とならなかった未固定遺体膝を用いて軟部組織評価の再現性検証を行った。進捗が想定よりも遅れたため、次年度への延長を申請させていただき、未固定遺体が確保でき次第研究を進めていく予定としている。
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Strategy for Future Research Activity |
使用可能な未固定遺体の確保を最優先に進めていく。未固定遺体は準備が完了したものから健常膝関節のフィルム型センサーシートを用いた摺動面圧解析を行う。さらにナビゲーションシステムを用いた関節動態評価との関連性を検討する。続いて健常膝関節に対して人工関節置換術を行い、手術操作と摺動面圧、関節動態、軟部組織バランスとの関連性を評価していく予定としている。
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Causes of Carryover |
使用可能な未固定遺体の確保が進まず、またフィルム型圧センサーの予期せぬ動作不良などがあり、進捗が想定よりも遅れたため、次年度への延長を申請させていただいたため、次年度使用額が生じた。未固定遺体が確保でき次第、本年度実施予定であった研究を進め、その費用に使用する予定である。
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