2022 Fiscal Year Research-status Report
関節摺動面圧は膝関節軟部組織バランス評価の基準となりうるか?
Project/Area Number |
20K18000
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
和田 佳三 徳島大学, 病院, 特任准教授 (00771289)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 動態解析 / 人工膝関節置換術 / ナビゲーション |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き今年度も新型コロナウイルス感染症の蔓延による研究活動制限や研究で使用する健常膝関節をもつ未固定遺体の確保不十分により、解析が十分に行えなかった。さらに昨年度から見られていたフィルム状圧センサーの動作不良が圧センサーのセンサコネクタの故障によることが明らかとなったため、今年度はセンサコネクタの新規購入や本研究の対象となる未固定遺体膝の確保などを行い、次年度の研究が確実に行える体制を整えることに注力した。 またこれまで得られた未固定遺体膝に対するナビゲーションシステムのデータの再解析を行い、屈曲に伴う大腿骨に対する脛骨の回旋運動に加えて内外側および前後移動をナビゲーションシステムのパラメータから評価した。この詳細な動態評価は本研究において、手術操作が関節動態に与える影響を定量的に評価するために必要なデータである。 未固定遺体4膝に対してナビゲーションのレジストレーションを行い、膝関節を他動的に屈曲させてナビゲーションシステムのパラメータを10度ごとに抽出した。脛骨は大腿骨に対して伸展位から30度屈曲位までは平均3.7度内旋し、30度から60度まではほぼ回旋せず、60度から120度にかけて平均10.4度内旋する運動を示した。内外側位置は屈曲に伴って大腿骨に対して脛骨が平均3mm外側に移動した。前後位置は大腿骨に対して脛骨が伸展位から30度屈曲位までは平均5.7mm後方に移動し、30度から120度までは平均30.5mm前方に移動した。本研究では以前の報告と比較して屈曲初期の回旋運動が少ない結果となっており、その原因として大腿骨および脛骨に挿入固定しているナビゲーションシステムのトラッカーによる軟部組織の牽引や関節包切開部の離開などが考えられた。本結果から、これらの研究中操作を今後の研究では注意して行うことを再度確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究予定では本年度は昨年度、一昨年度から滞っている未固定遺体を用いた動態解析と関節摺動面圧評価を実施することとしていたが、新型コロナウイルス感染症の蔓延による研究活動制限や研究で使用する健常膝関節をもつ未固定遺体の確保不十分により、解析が行えなかった。さらに昨年度から見られていたフィルム状圧センサーの動作不良が圧センサーのセンサコネクタの故障によることが明らかとなった。進捗が想定よりも大幅に遅れているため、次年度への再延長を申請させていただき、研究を進めていく予定としている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はセンサコネクタの新規購入や本研究の対象となる未固定遺体膝の確保などを行い、次年度の研究が確実に行える体制を整えることに注力しており、次年度は準備が完了した未固定遺体から健常膝関節のフィルム型センサーシートを用いた摺動面圧解析を行う。さらにナビゲーションシステムを用いた関節動態評価との関連性を検討する。続いて健常膝関節に対して人工関節置換術を行い、手術操作と摺動面圧、関節動態、軟部組織バランスとの関連性を評価していく予定としている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の蔓延による研究活動制限や研究で使用する健常膝関節をもつ未固定遺体の確保不十分により、解析が行えなかったため、次年度使用額が生じた。未固定遺体が確保でき次第、本年度実施予定であった研究を進め、その費用に使用する予定である。
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