2020 Fiscal Year Research-status Report
進行性骨化性線維異形成症の新規治療標的分子探索と治療薬開発
Project/Area Number |
20K18004
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
曽我 美南 熊本大学, 発生医学研究所, 助教 (80768002)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 進行性骨化性線維異形成症 / 疾患由来iPS細胞 / 疾患モデル / 骨化・軟骨化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、進行性骨化性線維異形成症(Fibrodysplasia Ossificans Progressiva, FOP)の新たな病態メカニズムを解明すること、そしてそれをターゲットとした新規治療標的分子の探索、標的分子をターゲットとした新薬開発を研究目的とする。FOPは軟部組織や筋肉に進行性の軟骨内骨化を生じる稀な先天性疾患で、BMPのキナーゼ型受容体であるALK2の変異(R206H変異など)に起因する希少難治性疾患である。根本的な治療法は確立されておらず対処療法のみであり、また現在治療薬候補として期待されているmTOR阻害剤は強力な免疫抑制剤であるため、間質性肺疾患や感染症といった重大な副作用を生じることが問題となる。したがって新しい治療薬の開発はFOP の優先すべき課題である。 本年度は患者由来の細胞を用いたChIP-seqとDNAマイクロアレイの結果から健常者と比較してFOP患者の線維芽細胞で発現が高い「gene X」を見出し、その分子をターゲットとした阻害剤がFOPの骨化・軟骨化を抑制できる治療薬候補になりうるかを調べた。gene Xの発現阻害によりFOP細胞の骨化・軟骨化が抑制され、gene XがFOP治療の新規ターゲットとなりうることを明らかにした。また、FOP由来iPS細胞を用いた新規のin vivo疾患モデルを確立し、その骨化・軟骨化を組織解析とCT解析によって評価した。作製したin vivo疾患モデルでは軟骨内骨化が見られ、FOPの病態を反映しているモデルといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はgene Xが関わるFOPの新規病態メカニズムを見出し、骨化・軟骨化への影響を明らかにした。また、gene Xの阻害剤添加がFOPの骨化・軟骨化を抑制することをin vitroで評価した。また、FOP由来iPS細胞を用いた新規のin vivo疾患モデルを確立した。全体的に、予定通り順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は予定通り、1.gene Xを強制発現・ノックダウンしその細胞の表現型を解析することにより、骨化・軟骨化への影響を調べる。2.新しく確立したin vivo疾患モデルが新薬候補の効果検討に使用できるか評価するために、iPS細胞移植9週目からALK2阻害剤であるLDN-193189をポンプで2週間持続投与し、骨化阻害への効果を評価する。
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