2021 Fiscal Year Research-status Report
転移性骨腫瘍に対する凍結免疫と免疫チェックポイント阻害薬による治療法の開発
Project/Area Number |
20K18006
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
相羽 久輝 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (70793834)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 凍結免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん凍結免疫は、がん細胞を凍結することによりがん抗原が全身に放出される現象として報告された。さらに破砕されたがん細胞が全身の免疫を賦活化するAbscopal効果もこれまで報告されている。凍結された組織では細胞内や細胞外の水分が凍結することにより、適切な浸透圧の維持が困難となり細胞が破裂することや、細胞内脱水によるネクローシスが生ずるとされている。破壊された組織は、細胞周囲に腫瘍抗原(ネオアンチゲン)を放出し、樹状細胞などの抗原提示細胞表面のMHC上に提示され、結果的にT細胞を活性化すると考えられている。 自験例では、2010年から2017年に転移性脊椎腫瘍97例に対して腫瘍脊椎全摘術(TES)と同時に凍結処理骨移植による椎体再建を行ったところ、46例で肺転移やリンパ節などの遠隔転移を有していたが、このうち約10%程度の症例で術後全身治療を行わず、転移巣の自然縮小を認め、凍結免疫によるAbscopal効果が関与していた可能性を報告した(Spine Journal, 2014, Murakami H, et al)。一方で、腫瘍細胞は様々な免疫応答から回避するメカニズムを有し、臨床的には凍結免疫のみでは十分な効果が得られているとは言えない。そこで、転移性骨腫瘍に対する凍結腫瘍骨移植よる凍結免疫の賦活化作用、及び免疫チェックポイント阻害薬による併用療法の上乗せ効果検討し、メカニズムを明らかにすることを目的に研究を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
我々は、乳がん細胞株であるMMT-060562細胞により作成した骨転移モデルを解析し、抗PD-1阻害薬と腫瘍凍結処理骨移植の相乗効果を検証する実験を行った。骨腫瘍を切除した後に、凍結免疫の賦活化の指標として残存骨腫瘍に対するAbscopal効果を検討したところ、腫瘍凍結処理骨移植を行った場合、切除のみと比較して、残存骨腫瘍の体積の進行抑制が認められた。一方で抗PD-1阻害薬を追加した場合、残存腫瘍は有意な縮小効果を示したが、凍結処理骨移植によるブースト効果は認めなかった。以上より、乳がん細胞株では、ある程度凍結免疫による腫瘍の進展抑制効果はあるが、免疫チェックポイント阻害薬への上乗せ効果は不十分であると考えられたため、実験計画の立て直しをしている。
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Strategy for Future Research Activity |
ここまでの結果からは、凍結処理骨移植の免疫チェックポイント阻害薬に上乗せ効果は、乳がん細胞株を用いた実験系で示すことは困難であったが、免疫チェックポイント阻害薬に対する反応性はTumor Mutation Burdenや組織でのPD-L1の発現、凍結腫瘍組織の抗原性などと密接に関与しており、がん種を変えることにより、強い免疫反応を惹起する可能性や、他の免疫チェックポイント阻害薬との併用により治療効果を高められる可能性がある。学先では左のシェーマに従い、多角的な解析を行う計画である。
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Causes of Carryover |
コロナにより出張などが少なく、旅費の出費がなかったため。
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