2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K18009
|
Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
塚本 翔 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (20707658)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 骨代謝 / 骨形成 / Wnt |
Outline of Annual Research Achievements |
骨組織は、骨形成と骨吸収を繰り返し構造や機能が維持されている。しかし、閉経後の女性や遺伝性疾患では、骨形成と骨吸収のバランスが崩れ、骨粗鬆症や異常な骨量増加が引き起こされる。骨組織におけるWntシグナルの活性化は、骨量を著しく増加させることが知られいる。しかし、19種類のWntが知られており、生理的な骨形成に重要なWntの詳細は未だ明らかでない。本研究では、これまでの研究成果から、Wnt7bに着目し、in vivo及び、in vitroの解析を進めている。2020年度は、研究計画に沿って、Wnt7b cKOの骨組織の解析、Wnt7bの骨芽細胞分化に対する効果の検討、骨組織におけるWnt7b発現細胞の解析を進めた。Wnt7b floxedとCAG-CreERTの交配で樹立した成獣のWnt7b cKOにタモキシフェンを投与し、出生後にWnt7bを欠失させた。しかし、マイクロCT解析及び、組織学的解析から、骨量に大きな変化はなかった。そこで、若年の成長期のWnt7b cKOマウスにタモキシフェンを投与した。すると、骨髄中の海綿骨の骨量が著しく減少することが判明した。この結果から、Wnt7bが成長期の骨形成に重要である可能性が示唆された。さらに、Wnt7bの生物活性を検討するために、マウスWnt7bを安定発現したL細胞を樹立し、Wnt7bのコンディショニング培地 (CM)を調整した。すると、Wnt7b-CMは、in vitroで骨芽細胞分化マーカーの発現を亢進することがわかった。現在、パラフィン切片上で、Wnt7b特異抗体による組織免疫染色の解析を進めている。本法で、Wnt7b発現細胞の同定が困難である場合は、非脱灰凍結切片やin situ hybridyzationの実施を検討する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
成獣及び、若年のWnt7b cKOマウスの解析から、Wnt7bが特に成長期の骨形成に重要である可能性が示唆された。また、in vitroでWnt7bの生物活性を解析できる実験系を樹立することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
2020年度の解析結果から、成長期の骨形成にWnt7bが重要な働きをしている可能性が考えられた。よって、2021年度は、当初の研究計画に基づき、in vivoの骨組織の解析及び、in vitroのWnt7bの生物活性の検討に加え、成長期の骨形成におけるWnt7bの役割についても解析を進める。
|
Causes of Carryover |
マウス飼育費用及び、組織解析試薬が予定よりも安価であったため、次年度使用額が生じた。今年度の結果に基づき、次年度は、マウスの繁殖及び、組織解析が増加する予定である。
|
Research Products
(3 results)