2020 Fiscal Year Research-status Report
骨修復能の「若返り」を目指した骨傷に対する新規治療戦略の創出
Project/Area Number |
20K18023
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
箭原 康人 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (60456390)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | マクロファージ / 老化 / 骨形成 / 骨折 / 骨折修復 |
Outline of Annual Research Achievements |
「老化」に伴って骨修復能は低下する。骨修復能の低下は、骨折後の骨癒合不全の原因となるだけでなく、身体機能の低下を引き起こし問題となる。しかし、老化によって骨修復能が低下する機序は分かっていない。これまでの研究成果として、若年マウスのマクロファージが分泌する蛋白に老年マウスの骨修復能を促進する効果があることを見出した。本研究の目的は、老化によって骨修復能が低下する機序をより詳細に解明することにより骨修復を促進可能な新規治療戦略を創出することである。 まず20カ月齢の老年マウスと2カ月齢の若年マウスの大腿骨に直径約0.8 ㎜の骨孔を作成し、その修復過程を組織標本およびマイクロCTで観察した。その結果、20カ月齢の老年マウスでは若年マウスに比べて、骨修復が有意に遅延していた。さらに若年および老年マウスの骨修復部に遊走する骨髄細胞を継時的に回収し、single cell RNA sequencing (scRNA-seq)法を用いて骨修復過程における細胞集団の変化、遺伝子発現の変化を解析した。解析結果から、若年マウスおよび高齢マウスに特異的なマクロファージの細胞集団を同定した。さらなる解析により、若年マクロファージおよび高齢マクロファージに特異的に発現する遺伝子群の同定を行った。 現在、in vitroの骨分化実験において候補となる遺伝子のノックダウン実験、過剰発現実験を行っている。同時に遺伝子改変マウスの準備進めており、ターゲット遺伝子の骨修復能に及ぼす効果を検証する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究結果として、若年マウスおよび高齢マウスに特異的なマクロファージの細胞集団を同定するとともに、両者の遺伝子発現パターンの解析を行った。その中から骨修復に関連する遺伝子群を同定し、その機能解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は遺伝子改変マウスを用いて、ターゲット遺伝子の骨修復に対する効果を検証する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度予定していた実験を完結することができず、次年度に持ち越す実験が発生した。実験進捗に応じて物品購入を行っていたため次年度使用額が発生してしまった。次年度は、動物実験関連、組織染色関連を中心に使用したいと考えている。
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