2021 Fiscal Year Annual Research Report
骨修復能の「若返り」を目指した骨傷に対する新規治療戦略の創出
Project/Area Number |
20K18023
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
箭原 康人 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (60456390)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 骨傷 / 老化 / マクロファージ / 卵黄嚢 / 造血幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
老化に伴って骨修復能は低下する。骨修復能の低下は、骨折後の骨癒合不全の原因となるだけでなく、身体機能の低下を引き起こし問題となる。しかし、老化によって骨修復能が低下する機序は分かっていない。我々は、若年マウスのマクロファージの分泌蛋白が老年マウスの骨修復能を「若返らせる」ことを見出し報告した。この結果から、経年的な骨修復能の低下は、マクロファージの構成や機能の違いに起因するのではないかという仮説を立てた。 これまでマクロファージは骨髄造血幹細胞に起源し、血液単球に由来すると考えられてきた。しかし、近年一部のマクロファージは、胎児卵黄嚢に生じる前駆細胞から発生し、生後も生体内で維持されることが証明された。しかし、HSCsと胎児卵黄嚢由来マクロファージが骨修復過程において、どのような機序で遊走・活性化し炎症の惹起や組織修復に関与するのか、さらに老化の過程において両者の集団がどのように継時的な変化を来すのかは不明であった。 本研究では、骨髄HSCs由来と胎児卵黄嚢EMPs由来マクロファージが時間的、空間的に変化しながら、骨組織特有の微小環境に適応する過程を解明することに挑戦した。その結果、胎児卵黄嚢由来マクロファージは胎生期に骨へと移行し骨吸収を担当する破骨細胞へと分化することが判明した (Yahara et al., Nat Cell Biol. 2020, Yahara et al., Front. Cell Dev. Biol. 2021)。胎児マクロファージに由来する破骨細胞は長期に渡って生後の骨に在住し骨の恒常性維持に関与していた。さらに一旦骨に損傷が起こると、その修復過程の亜急性期から慢性期にかけて局所へと遊走し、損傷後の骨リモデリングに関与することが明らかとなった。以上の成果から、骨修復過程における胎児卵黄嚢由来マクロファージの関与が明らかとなった。
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Research Products
(4 results)