2022 Fiscal Year Annual Research Report
Nobel strategy and elucidation in fracture healing using Modulating Circadian rhythm
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20K18030
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野口 貴志 京都大学, 医学研究科, 助教 (50736642)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 骨癒合 / 時計遺伝子 / メラトニン |
Outline of Annual Research Achievements |
生体の持つ体内時計(概日リズム)は時計遺伝子によって制御され、血圧やホルモン分泌、行動を示す。時計遺伝子は外的刺激に影響を受け、その発現を変化させる。 骨折治癒過程でも時計遺伝子の関与が示され、先行研究で骨癒合遅延に時計遺伝子の発現の変化が示された。本研究では、時計遺伝子の発現が変化する糖尿病モデル動物に骨折を作成し、薬剤投与により人為的な概日リズム調節を行うと、骨癒合が促進されると仮説を立てた。 実験動物はC57BL/6Jマウス、6週齢を用いた。コントロール群、糖尿病群、低用量メラトニン群、高用量メラトニン群の4群を作成し、コントロール群以外の各群には高脂肪食とストレプトゾトシン投与により糖尿病を惹起した。各個体に脛骨骨幹部骨折を作成し、メラトニン投与群に対しては骨折作成前後の合計10日間にメラトニン10mg/kg/dayもしくは60mg/kg/dayを投与した。骨折作成後21日目に標本採取(骨折部)を行い、骨折部はμCTおよび組織学的に評価を行い、骨折後10日目に心臓と骨折部を採取し、時計遺伝子(Per2、Bmal1)の発現を6時間ごとにqPCRで日内変動を調べた。 21日目のμCTで、化骨形成はコントロール群7.03±0.97mm3、糖尿病群8.14±0.68mm3、低用量メラトニン群7.14±0.74mm3、高用量メラトニン群12.50±1.73mm3と高用量メラトニン群で有意に高かった。一方で骨化はコントロール群に比べ他の各群は有意に低下していた。組織評価でも同様だった。時計遺伝子の発現はコントロール群、糖尿病群、低用量メラトニン群の各群間で発現様式が変化していた。 以上より、メラトニン投与が時計遺伝子の発現を変化させ、糖尿病モデルマウスの骨折部の仮骨を増大した可能性がある。しかし、骨癒合過程には薬剤投与より糖尿病の影響が大きいと考えられた。
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