2020 Fiscal Year Research-status Report
新規治療開発を目指した肉腫由来オルガノイドパネルの構築
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20K18048
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Research Institution | Osaka International Cancer Institute |
Principal Investigator |
若松 透 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, 整形外科医長 (90833476)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 肉腫 / オルガノイド |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年7月より膵癌オルガノイドのプロトコールに基づいて、マトリゲルを用いて13例の臨床肉腫サンプル(骨肉腫、脱分化型脂肪肉腫など)よりオルガノイド株の樹立を試みた。当初、2-3継代培養が可能であったが、その後増殖しなくなった。複数の培養培地を試みたが改善しなかったため、他癌腫とは違い肉腫では使用したプロトコールでの安定した樹立は難しいと判断した。その後、共同研究者と検討しエアリキッドインターフェイス(A L I)オルガノイド培養法を用いて肉腫サンプルからのオルガノイド培養を試みた。結果として肉眼的には4-5継代は培養可能な肉腫株を約20種類程度樹立できた。特に脱分化型脂肪肉腫や類上皮肉腫、多型型脂肪肉腫、未分化多形肉腫がそれぞれ3例以上樹立できた。また間葉系軟骨肉腫や横紋筋肉腫、粘液繊維肉腫なども樹立できている。しかし観察上増殖は緩やかであり、更なる培養の条件検討が必須であり継続中である。また3例以上揃った組織系に関してはそれぞれN S Gマウス皮下に移植し腫瘍形成能を確認しており、並行してオルガノイドの組織像や発現タンパクを免疫染色やqPCRなどを用いて確認中である。 まず肉腫での通常のオルガノイド培養法が不適当でA L Iオルガノイド法での安定した培養が適しているということを脱分化型脂肪肉腫や類上皮肉種オルガノイドを用いて示し、論文投稿を予定している。今後もオルガノイドの樹立を継続しながら培養条件検討を継続し、複数樹立できた組織系はRNAシークエンスなどを行い遺伝子解析に基づいた治療実験を行い新規治療法の提案を検討していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
膵癌プロトコールに基づいてマトリゲルを用いた肉腫オルガノイド培養を試みていたが、2-3継代培養で増殖しなくなることが相次いだ。10例以上検討し同様の結果であったことで、別の培養法を検討する必要が出てきた。そのためその期間の遅れが生じている。しかし新たに用いたALIオルガノイド培養法では比較的安定して培養できるため肉腫培養に適している可能性があり、効率は上昇した感触を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、約20例以上の肉腫オルガノイドを継続的に培養できており、実際にそれらが臨床像を模倣できているかを確認する段階である。肉腫オルガノイドの組織像と臨床サンプルの組織像の比較や免疫染色での発現タンパクの比較を行っている。またNSGマウスに移植し腫瘍形成能を確認している。並行してより効率的な肉腫オルガノイドの培養法の条件検討も行っている。さらに複数例揃った組織型は次の段階としてRNAシークエンスなどを用いて遺伝子解析に基づいて治療実験を行い新規治療法の開発を行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
2020年度は研究の開始用の試薬を購入し使用していたが、コロナウィルス感染のため各学会がWebでの開催になったため旅費が必要なくなったことで次年度使用額が生じた。 2021年度は複数の論文投稿を予定しており、それらの校正費や投稿費などが必要になってくる。さらに遺伝子解析などある程度の費用が必要な研究も行う予定であり、それらに残額を使用することに変更していくことを計画している。
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