2021 Fiscal Year Research-status Report
転移性脊椎腫瘍に対する次世代シーケンサーを用いたがん遺伝子パネル検査
Project/Area Number |
20K18049
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Research Institution | Hokkaido Cancer Center(Department of Clinical Research) |
Principal Investigator |
岩田 玲 独立行政法人国立病院機構北海道がんセンター(臨床研究部), 臨床研究部, 腫瘍整形外科医長 (10374373)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 骨転移 / 遺伝子がんパネル |
Outline of Annual Research Achievements |
次世代シーケンサーを用いたがん遺伝子パネル検査が2019年6月から保険収載され、従来の臓器別治療から遺伝子異常に基づく抗がん剤の選択が可能な時代になった。一方で、検体採取部位についての規定はなく、選択した抗がん剤が奏効するのかについては検体に大きく依存することになる。原発巣は壊死部や正常組織も混在し、さらに境界も不明瞭である場合があるため、検体採取部位によっては主要な遺伝子異常を包含していない場合が懸念される。一方、骨転移巣は、硬組織である骨に転移した腫瘍細胞以外の混入が少ない利点がある。原発巣よりも骨転移巣からの検体に基づいた抗がん剤の選択は奏効率のさらなる向上に貢献するものと期待される。本研究の最終目標は、骨転移病巣と原発巣の遺伝子変異の違いを、がん遺伝子パネル検査を通じて検討することである。 2020年度は手術時に採取した診療用検体の残余試料を研究用検体として使用することを定め、当院病理診断科と凍結検体の作成と保管場所を決定した。そして凍結切片を保管するチューブ型容器の選定、電子カルテに凍結検体作成用の研究用ラベルを発行手続き、検体登録リスト閲覧画面の作成、病理診断科から保管と解析を実施する北海道大学生体試料室へ凍結検体の搬送方法と搬送日(採取翌平日9時から17時まで)を定めた。北海道大学生体試料室でDNA抽出と原発巣と転移巣のがん遺伝子の違いを解析するが、解析方法としてがん遺伝子パネルをGene Read Comprehensive Cancer Panel: 160 gene listを用いることに決定し、腫瘍に関連した遺伝子領域の高密度ジェノタイピングを行う事とした。手術実績が多く、原発巣の生検数も比較的多い腎細胞癌を対象とすることにした。倫理委員会は2021年1月29日に承認された。2021年度に原発巣と骨転移巣の両方の検体が揃ったのは3件だった。2022年5月28日現在新たに1件を対象候補とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
検体の品質管理検査を行うと、低い腫瘍細胞含有率であったのが1件、EDTA脱灰ではなくギ酸を用いた脱灰操作が行われていたのが1件、検体採取前に放射線治療を受けたため壊死組織だったのが1件だった。壊死組織の1件は対象外としてDNAの品質をチェックした。上記条件であるため2例とも品質が低く、NGSでの解析は難しい(ライブラリそのものが作れない)可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
壊死組織や腫瘍含有率が少ない検体である可能性があるため、DNAの品質を確認しながら解析不能例を考慮して更に登録を進めていく。原発巣5例及び転移巣5例の計10例が揃ったらNGS解析を行う。
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Causes of Carryover |
2021年度は3例の登録と2例のクオリティチェックに留まり、NGS解析を1度に行う5例(原発巣及び転移巣のそれぞれ5例)に達しなかった。NGS解析を行うための予算を遂行できなかった。次年度に解析を行い、予算を遂行する予定である。
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