2020 Fiscal Year Research-status Report
AI(Radiomics)を用いた整形外科疾患の機能予後予測
Project/Area Number |
20K18052
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
牧 聡 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (00771982)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 人工知能 / 脊髄損傷 / 頚椎症性脊髄症 / 大腿骨近位部骨折 / 転移性脊椎腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
【①脊髄損傷】 Radiomicsを用いて受傷直後のMRIから頚髄損傷の機能予後を予測することを目的とした。対象は1ヶ月後のASIA Impairment Scale(AIS)が判明している頚損患者とした。収集した217名のMRI画像を学習用と検証用に分けて1ヶ月後のAISを予測させ、実際のAISとの一致率を調査した。検証したMRI画像のうち、88%がグレード1つの誤差内でAISを予測できた。Radiomicsを用いて頚髄損傷の機能予後予測が可能であった。 【②頚部脊髄症】 術前に撮影したMRIから1年後の神経症状の予後の推測をある程度の正確度で行うことに成功した。精度向上のためにデータを追加して学習中である。 【③大腿骨近位部骨折】 股関節単純X線正面像および側面像を用いて、CNNによる大腿骨近位部骨折の診断能を評価することを目的としCNNと整形外科医4名の診断能を比較した。股関節正面像1703枚と側面像1220枚を対象とした。整形外科4名もCNNと同じ画像を読影した。診断能の評価のため、正解率、平均再現率、平均適合率、平均F1値をそれぞれ求めた。CNNは整形外科専門医と同等かそれ以上の精度で大腿骨近位部骨折の診断が可能であった。結果を論文(Yamada Y, Maki S, et al. *Acta Orthop *2020)で報告した。 【④転移性脊椎腫瘍(癌の背骨への転移)】 CNNを用いてMRI画像による転移性脊椎腫瘍と骨粗鬆症性椎体骨折の鑑別を行うことを目的とした。転移性脊椎腫瘍の患者49例と骨粗鬆症性椎体骨折の患者60例の脊椎MRI画像を対象とした。CNN分類器の感度は78%、特異度は88%、正確度は84%であった。MRI画像を用いた転移性脊椎腫瘍と骨粗鬆症性椎体骨折の鑑別において、CNN分類器の診断能は良好であり、鑑別の一助となることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①脊髄損傷:受傷直後のMRIから1ヶ月後の麻痺の重症度を高い一致率で予測することに成功した。現在論文投稿中である。 ②頚部脊髄症:術前に撮影したMRIから1年後の神経症状の予後の推測をある程度の正確度で行うことに成功した。精度向上のためにデータを追加して学習中である。 ③大腿骨近位部骨折:機能予後を予測する前段階の研究として骨折の有無と大腿骨近位部骨折の鑑別(転子部骨折もしくは頚部骨折)を行うモデルの作成に成功をした。整形外科医よりも診断の正確度は高く、結果を論文で報告した。 ④転移性脊椎腫瘍(癌の背骨への転移):原発巣予測の前段階の研究として転移性脊椎腫瘍との鑑別がしばしば問題となる骨粗鬆症性椎体骨折との鑑別を行うモデルの作成を行った。結果を現在論文に投稿中である
|
Strategy for Future Research Activity |
①脊髄損傷:現状で目標は達成できた。 ②頚部脊髄症:データを追加して精度を上げる。必要に応じて新しい分類モデルを試し、論文投稿を目指す。 ③大腿骨近位部骨折:機能予後と画像を結び付けて学習させる予定である。データの収集を継続する。 ④転移性脊椎腫瘍(癌の背骨への転移):データ収集を継続する。 上記と合わせて、マルチモダリティの画像を入力としたり、患者の元々のADLや採血データなどを含む臨床データを入力とするアンサンブルモデルの構築を行い、予測精度の向上を目指す。
|
Causes of Carryover |
獲得した助成金の内、2021年3月31日が使用期限の資金を優先的に使用し、かつ2020年度は新型コロナウイルウスの影響で学会の旅費の出費が大幅に抑えられた。2021年度は引き続き人件費、および状況に応じで学会出張、物品購入等に使用予定である。
|
Research Products
(2 results)