2022 Fiscal Year Annual Research Report
中高年齢者における膝関節X線画像上の関節裂隙の定量的評価とその縦断変化の日米比較
Project/Area Number |
20K18054
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤井 朋子 東京大学, 医学部附属病院, 届出研究員 (40793089)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 変形性膝関節症 / X線画像 / 定量的関節裂隙 / 関節裂隙狭小化 |
Outline of Annual Research Achievements |
膝X線画像上の関節裂隙の変化には人種間の違いが存在する可能性があるが、研究間で結果を比較するためには同じ方法での計測が必要である。本研究は、日本のコホート研究であるROADスタディで用いられた膝X線画像読影システムを用いて、米国のコホート研究Osteoarthritis Initiative(OAI)の膝X線画像の最小関節裂隙を計測し、日米間の比較を試みた。 令和2年度は、OAIの4796人のX線画像フォルダをダウンロードし、フォルダ構造の変換プログラムを作成して画像を抽出し、計測を開始した。 令和3年度は、2名の検者について検者内、検者間の信頼性が良好であることを確認し、計測を継続した。 令和4年度はベースラインと36か月の全X線画像の測定を終了した。ベースラインの最小関節裂隙の平均値は全体で3.08mm (標準偏差1.12)で、男女別、Kallgren-Laurence (KL)グレードごとにROADスタディの結果と比較すると差は概ね0.30mm未満だったが、一部のグレードで0.48 ~1.13mmの差があった。36か月の最小関節裂隙の変化量は平均0.14mm (標準偏差 0.69)であった。計測誤差を考慮したReliable change indexを用いると、ベースラインのKLグレードが0~3の内側型OAの3255膝の関節裂隙の変化は安定が94.0%、有意な減少が4.7%、有意な増加が1.2%だった。関節裂隙の変化量は計測誤差に対して小さく、撮影時のポジショニングの不良や非一貫性、脛骨の後縁が不明瞭なことが多いといった問題があった。膝関節裂隙の狭小化の人種や国による違いは明らかでなく、日本の大規模コホートと同じ方法で米国人について評価したことは学術的な意義がある。今後関節裂隙の変化量について人種間等の違いを検討することは、病態の理解や治療の開発に役立つと考えられる。
|