2020 Fiscal Year Research-status Report
軟骨再生での間葉系幹細胞の増殖機序の解明と増殖を制御する関節内完結型治療法の発案
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20K18055
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
日山 鐘浩 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (90815789)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は以前の研究において半月板損傷後の修復時に間葉系幹細胞が集積することを報告している。さらに本年の滑膜組織内MSCsの時空間的増殖パターンの検討にて以下の事象を明らかにした。ラット(Wistar rat,雄,8週齢)の膝に低用量(0.2mg)の炎症誘導因子・モノヨード酢酸ナトリウム(MIA)を関節内投与(day0)として炎症を惹起した。組織学的評価ではモノヨード酢酸ナトリウム投薬後1から4日目に強い分裂、増殖を認めた。分裂時にDNA に取り込まれる、チミジン・アナログ蛍光染色剤のClduを炎症誘発後1、2日目に投与し、続いてIduを炎症誘発後3,4日目に投与し、細胞分裂を時系列的に評価した。Day5までに増殖した細胞に標識をつけた.Day5,14にラットを安楽死させ膝関節を採取し全関節パラフィン切片を作製した.またday5の膝関節液を回収し,その浮遊細胞をスライドグラス上で12時間のみ培養した.ヘマトキシリン・エオジン染色およびサフラニンO染色で組織評価を行い,免疫染色にて膝関節内における標識細胞の局在,およびday5の関節液内の標識細胞の有無を評価した.1,2日目に表層の細胞が分裂し、その分裂した細胞のうち表層に近い細胞が3,4日目にも連続して分裂していた。一部の細胞は押し出せれる形で深層に至り、元から深層にいる細胞、深層に移動してきた細胞は分裂が弱かった。滑膜間葉系幹細胞は表層にある場合のみ強く分裂していることが分かった。つまり、間葉系幹細胞の細胞分裂が繰り返す際には細胞因子と環境因子が組み合さって選択されていることが示唆された。上記に関して2021年の日本整形外科学会基礎学会にて報告する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は概ね順調に進んでいる。 本年の滑膜組織内MSCsの時空間的増殖パターンとして、ラットの膝に低用量の炎症誘導因子・モノヨード酢酸ナトリウムを関節内投与として炎症を惹起し、チミジン・アナログ蛍光染色剤のCldu、Idu増殖した細胞に標識をつけたモデルにて1,2日目に表層の細胞が分裂し、その分裂した細胞のうち表層に近い細胞が3,4日目にも連続して分裂していた。一部の細胞は押し出せれる形で深層に至り、元から深層にいる細胞、深層に移動してきた細胞は分裂が弱かった。滑膜間葉系幹細胞は表層にある場合のみ強く分裂していることが分かった。つまり、間葉系幹細胞の細胞分裂が繰り返す際には細胞因子と環境因子が組み合さって選択されていることが示唆された。上記に関して2021年の日本整形外科学会基礎学会にて報告する予定であり、研究は概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
シングルセルマッピングマウスによるMSCsの時空間的増殖のシングルセルlevelでの解析を行う。 本大学幹細胞医学分野で作成した多色標識可能なRosa26R-(R26R)Brainbow2.1 マウスと当研究室で現在作成中のPrg4CreERt2マウス(PRG4は滑膜表層幹細胞に特異的に発現している)をかけ合わせ、Prg4creERT2;R26RBrainbow2.1homo- zygousマウスを作成する予定である。。Tamoxifen(TAM)にて滑膜表層幹細胞を特異的に多色標識し、滑膜表層細胞のシングルセルマッピングをおこなう。その後、本年の実験でもちいた炎症誘発‐Cldu/Idu分裂細胞染色モデルを合わせることにより分裂する時期により異なるカラーに染色させることにより、シングルMSCsの分裂と時間空間的分布を解析する。この結果では複数のパターンを想定している。中立的幹細胞クローンモデル:表層幹細胞がほぼ同等にクローン細胞を分裂しランダムに増殖する。優勢幹細胞選択クローンモデル:細胞競合により優勢の幹細胞が選択され残っていく。先行実験より優勢幹細胞選択クローンモデルを想定する
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Causes of Carryover |
研究は順調に進捗したが、コロナによる、で一部行えなかった実験があり、当初予定の研究を行わなかったため、次年度使用額が生じた、次年度に本年度予定していた、実験を行う為の予算を次年度使用額として算出した。
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Research Products
(1 results)