2020 Fiscal Year Research-status Report
脂肪由来幹細胞を用いたインプラント周囲感染症の新たな治療法の開発
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20K18057
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
吉谷 純哉 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (30800601)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | インプラント周囲感染 / 脂肪由来幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗生剤と脂肪由来幹細胞(ADSCs)のcombined therapyがインプラント周囲感染モデルラットに対して従来の治療法を上回る治療効果があるかどうかを検討した。インプラント周囲感染の代表的な起炎菌であるStaphylococcus aureus (ATCC29213)と共にovernight cultureしたスクリューを挿入することでインプラント感染モデルを作成した。このモデルに対して無治療群、ADSCs投与群、抗生剤投与群、抗生剤併用ADSCs投与群の4群を作成し評価を行った。実験の結果、抗生剤併用ADSCs投与群では有意にインプラントのcolony forming unit (CFU)の低下と膿瘍の縮小を認めた。また抗生剤併用ADSCsの局所投与はosteomyelitis scoreと骨溶解を改善していた。またADSCs単独でもno treatment群と比較すると細菌数を減少させていた。これらの結果より抗生剤とADSCsのcombined therapyはインプラント周囲感染症の新たな治療法となりうると考えた。この成果はScientific Reportsに投稿し既にpublishされている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
インプラント周囲感染症における脂肪由来幹細胞と抗生剤の併用療法の効果を動物実験にて確認し結果を得た。この結果は論文にて既に発表しており一定の評価を得ている。そのため当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
ADSCsと抗生剤併用療法における最適な投与方法について、ADSCsの投与経路が局所がよいのか全身(血行性)がよいのかの結論は出ていない。そのため全身投与モデルでの評価を行う。抗生剤点滴モデルを作成し、単独治療群、ADSCs-抗生剤との併用治療群の治療効果を比較検討する。また局所での効果を高めるためにscaffoldの作成を行う。これには当研究室オリジナルの脂肪由来幹細胞シートを用いる。局所投与、全身投与、細胞シートを比較することにより最も感染に対する治療効果が高い方法を検討し臨床応用することを目的とする。この年度の検討により最適な投与方法が明らかとなった暁には、大型動物を用いた実験モデルの作成を目指す。
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Causes of Carryover |
コロナパンデミックによる海外渡航費、国内学会費用がなくなったため次年度使用額が生じたものと考えられる。次年度使用計画としては、同じ研究内容による新たな実験系に対する費用として計画する。
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