2020 Fiscal Year Research-status Report
新規ヒアルロニダーゼKIAA1199活性阻害を標的とした早期変形性関節症薬剤開発
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20K18060
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小池 宏 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (80846080)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 細胞外マトリックス / ヒアルロン酸 / 変形性関節症 |
Outline of Annual Research Achievements |
変形性膝関節症(OA)は本邦で2530万人が罹患していると推定されており、ADL、QOLを著しく低下させるが、未だ病態を改善する内服薬開発は成功していない。OA患者では細胞外マトリックス(ECM)が変性し、関節液中ヒアルロン酸(HA)は低分子量化し、HAが病態形成に重要な役割を果たすと推測されている。近年、難聴の原因遺伝子として発見されたKIAA1199は既知のHA分解酵素より強力な活性があり、OAの滑膜線維芽細胞に高発現しているため、OAにおけるHA分解にKIAA1199の関与が推測されている。本研究の目的は、OAにおけるヒアルロン酸分解の関与が推測されているKIAA1199を抑制するDrugXを、OAの動物モデルに投与し、治療効果を検討し、臨床応用に向けた基盤データを得ることである。 研究実績として、令和2年度は主にin vivo実験を中心に進めた。DMMマウスモデルの作成に成功し、OAのマウスモデルを安定的に作成することが可能となった。DMMモデルマウスにDrugXを投与し、手術側および、sham群の関節症性変化をMankin score などを用いて組織学的に定量、評価した。また、組織の軟骨、ヒアルロン酸、KIAA1199を免疫染色で評価した。経時的なCTによる関節症性変化の評価、滑膜組織のRT-PCR、Western blotting、ヒアルロン酸の濃度、分子量の測定、血清、関節液のヒアルロン酸の濃度、分子量の測定を課題としたが進捗は遅延している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
DrugXの関節症抑制効果を調査するためのDMMマウスモデル作製(in vivo)は予定通り完了している。遅れている理由として、安定的なDMMマウスモデルの作成、組織の評価方法の確立、免疫染色の手技の安定に時間を要したが、これらの点については現時点で、ある程度達成されている。滑膜、血清からのヒアルロン酸関連データの抽出が急がれる。今般のCOVID19のパンデミックにより、研究計画は大きく影響を受けている。年度初めには本学ガイドラインにてCOVID19に関連する研究以外の研究活動の休止が指示され、動物実験施設への出入りも規制された。ピペットなど消耗品やPCR試薬の欠品や納入遅延も問題となった。現在は感染防止措置の上、実施可能と活動指針が緩和されたが通常どおりではない。また研究代表者は、診療従事者として、COVID対策に伴う臨床業務負担の増加に対応している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度においては、早急な研究再開と進展について努力する。 DrugX投与およびVehicleを投与したDMMマウスモデルから滑膜組織を採取し、RT-PCR、Western blotting にて関節症やヒアルロン酸代謝と関連する遺伝子、蛋白発現を解析し、また、血清、滑膜、関節液のヒアルロン酸濃度、分子量をELISA、Chromatographyで評価することにより、DrugX投与による関節症の改善効果との関連を評価する。研究環境として、技官および研究助手の勤務制限、テレワーク解除を期待する。
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Causes of Carryover |
実験計画で予定していたRT-PCR、Western blotting、ヒアルロン酸の濃度、分子量測定が未施行であるため。 使用計画:RT-PCR、Western blotting、ヒアルロン酸の濃度、分子量測定に必要な試薬、抗体、またマウスの購入、飼育のために研究費を使用する。今後、研究結果の発表に関連する学会および論文校正費用、また研究に関連する書籍の購入費用に研究費を使用する。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Risk Factors of Local Recurrence after Surgery in Extra-Abdominal Desmoid-Type Fibromatosis:A Multicenter Study in Japan.2020
Author(s)
Nishida Y, Hamada S, Kawai A, Kunisada T, Ogose A, Matsumoto Y, Ae K, Toguchida J, Ozaki T, Hirakawa A, Motoi T, Sakai T, Kobayashi E, Gokita T, Okamoto T, Matsunobu T, Shimizu K, Koike H.
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Journal Title
Cancer Sci.
Volume: 111
Pages: 2935-2942
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Forced Expression of KIAA1199, a Novel Hyaluronidase, Inhibits Tumorigenicity of Low-Grade Chondrosarcoma2020
Author(s)
Koike H , Nishida Y, Shinomura T, Zhuo L, Hamada S, Ikuta K, Ito K, Kimata K, Ushida T, Ishiguro N.
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Journal Title
J Orthop Res.
Volume: 38
Pages: 1942-1951
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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