2020 Fiscal Year Research-status Report
血友病性関節症における関節超音波画像診断のスコアリングシステムの構築
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20K18065
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山崎 尚也 広島大学, 病院(医), 助教 (60839207)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 関節エコー / 血友病性関節症 / スコアリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度における参加人数は30名であった。関節超音波画像検査実施箇所は、肘・膝・足関節の両側、計6カ所としている。骨軟骨損傷や浸出液、滑膜肥厚の有無、関節裂隙の幅などの検査所見を緻密に収集している関係上、1症例につき関節超音波画像検査時間は約45分を要している。これまでに得られた所見としては、関節レントゲン検査にて血友病性関節症の重症度が上がるほど、関節裂隙の狭小化や関節内側・外側の尖鋭化を認め、関節内出血回数が多い参加者においては、滑膜の肥厚や浸出液貯留を認める傾向がある。血友病性関節症における関節超音波画像診断のスコアリングシステムを構築する上で重要な所見は前述のように複数認めているが、エコー技術が未熟であると拾い上げにくい項目も含まれており、研究目的にある「再現性の高い所見」のみでのスコアリングシステム構築実現には課題が残されてる。また、現在拾い上げられている所見に関して、その所見が実際の関節内出血回数の多少にどのように影響しているかという相関性の検証が行えるほどのデータ蓄積が行えていない。さらに、関節内出血を認めた際にはできる限り超音波画像検査を実施するように参加者に来院を促してはいるが、参加者において関節内出血事象が少ないことやSARS-Cov2蔓延により参加者のもとに訪問しにくいなどの状況があるため、現時点では2症例のみの評価に留まっている。その限られた症例においてみられる所見としては、非出血時と比較して、関節近傍の血流増加、血液と考えられる液体貯留などを認めており、これらの所見を基に、出血による関節痛であるのか、関節変形に伴う関節痛であるかの判別は可能と考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究参加してくださる方が想定よりも少なく症例数がやや不足している。この原因の一端として、SARS-Cov2蔓延に伴い受診頻度の低下や対面実施である関節エコーを忌避する方が少なからずいらっしゃることが挙げられる。現時点での参加人数は30名を超えており、今後も同様に研究に参加していただければ、スコアリングシステム構築に耐えうるデータ量を集積できると判断しているが、理想としてはより多くの研究参加者を確保したいところである。
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Strategy for Future Research Activity |
血友病性関節症に特徴的な関節超音波画像検査所見を整理する上で、やはり参加人数を増やして検討することが本研究で最も重要であると考えており、今後も参加者人数を増やしていくことが最重要課題である。それを実現するためには、SARS-Cov2を含めた感染症対策が十分講じられた環境を整えていること、本研究への参加が対象者にとって魅力的であることが必要であるため、換気がしっかりしている空間の広い部屋の確保や謝礼増額などで対応していきたい。また、関節内出血を繰り返している症例においては、徐々に関節変形をきたすため、これまでに関節超音波画像検査を実施した参加者であっても変化がないかを追って評価していくことも必要と考えている。
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Causes of Carryover |
研究に必要な症例が想定していた件数確保をできなかったため残額が生じた。次年度では,参加人数を確保するため,謝金の増額や参加しやすい環境整備に使用する。
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